東宝ミュージカル特別公演 王様と私
作詞:オスカー・ハマースタインII  作曲:リチャード・ロジャース  訳:森 岩雄/高田 蓉子      訳詞:岩谷 時子  演出:中村 哮夫          振付:森田 守恒  照明:吉井 澄雄          衣裳:宇野 善子  公演期間:98年2月28日(土)〜4月19日(日) 公演場所:青山劇場  シャム王    :高嶋 政宏    アンナ    :一路 真輝  チャン王妃   :秋山 恵美子   タプチム   :佐渡 寧子  総理大臣    :松山 政路    ルンタ    :安崎 求  ラムゼイ卿   :篠井 英介   観劇日:1998年3月21日(土) 12:00 開演 1F XB列27番  「シャルウィダンス」の名曲は今や誰もが知っている曲となっているが、  それがこの「王様と私」の中の曲でしかもこの話の内容を知っている人は  何人いるのであろうか。  今まで何度も上演されてきた古いミュージカルであるが、ミュージカル  初出演の高嶋政宏と宝塚退団後の一路真輝がキャスティングされて上演  されてから今回が再演である。  高嶋政宏といえば、なんかのTV番組で音楽好きで自らも歌っているのを  聞いたことがあるので、ミュージカル出演も無難にこなすだろうと思って  いましたが、王様のナンバーって結構難しいんだね。  それを、なんとか努力してますって感じが好感持てたし、雰囲気や演技が  カバーしていて、また相手役の一路真輝ともお似合いで、新鮮な王様像が  できあがっていたと思う。願いはこの王様像を壊さぬよう他のミュージカル  には出演しないで! ということでしょうか? 「ラマンチャの男」や  「屋根の上のヴァイオリン弾き」のように「この人はこの役だけでしか  見れない!」という路線で頑張って欲しい。  一路真輝はほとんどの宝塚出身者に感じるのと同じく男役をやっていたとは  思えないですね。背が高く、舞台の中央で映えます。特に目立つドレスを  着てますから。歌もうまく、涼風真世と似たような感じもしますが、今後も  東宝のヒロインとして活躍していくのではないでしょうか。  有名な「シャルウィダンス」のナンバーは当然作品中一番の印象的なシーン  で良かったが、ラストで王様が死んでしまうし、劇中はほとんど2人は  いがみあっているわけであるから、恋物語としてとらえた場合最もハッピー  な感覚を得られるのはこの「シャルウィダンス」のシーンだけであるので  印象が強い意味がよくわかる気がした。このまま、ダンスシーンが何度も  続けばいいのに、と思えるほどである。  他にも「アンクル・トムの小屋」のシーンなど思わず、西洋産ミュージカル  なんてことを忘れてオリエンタルな世界に入り込んでしまうなど別の意味  で楽しめた。普段この種の東南アジア的な舞踊劇みたいなのを見慣れないので  新鮮味もある。  最近テレビ等で活躍している気になる役者、篠井英介であるがラムゼイ卿と  いう役だからなのかなんかおとなしすぎたような感じであった。総理大臣の  ほうが似合っていたのかもしれない。  舞台全体で言うと子役の数が多いせいかカンパニーの人数も多く見えて迫力  があったと思う。  また演出面でアンコールでソロの歌が入るのはなかなか新鮮だった。  「シャルウィダンス」のシーンがアンコールで再現されたのもサービス  としては最高だったと思う。
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