フジテレビ開局40周年記念企画
              
big the musical
脚本:ジョン・ワイドマン     作曲:ディビッド・シャイアー  作詩:リチャード・マルトビーJr 振付:ステイシー・トッド・ホルト  演出:永山 耕三  スクリプトアドバイザー/訳詩:北川 悦吏子  編曲/指揮:服部 隆之  翻訳/訳詩:常田 景子  エグゼブティブプロデューサー:亀山 千広、中村 芳章、山崎 芳人  ジョシュ・バスキン  唐沢 寿明  スーザン・ローレンス 酒井 法子  ジョージ・マクミラン 宝田 明   ミセス・バスキン   高畑 淳子  ポール・シーモア   本間 憲一  ミス・ワトソン    石富由美子  シンシア・ベンソン  吉野 紗香  ビリー・コペッキ   大沼 遼平  ジョシュ・バスキン(少年) 斉藤 拓実  重役:チャーリー湯谷、長沢 徹、大場 公之  アンサンブル:伊勢田隆弘、久野真平、紀井秀明、中本雅俊、水谷誠伺、         初音ひかり、川西良枝、田村綾子、林 希  少女:遠藤雅子、桑山夕利果、鶴水瑠衣、南里侑香、真代、石本ひな、こと美  少年:北村佳祐、田中巧、蓮見航、宮島章、島崎裕也  公演期間:98年7月18日(土)〜8月30日(日)  場所:東京国際フォーラムCホール  日時:98年7月19日(日) 16:30開演  座席:1F6列16番(S席 9000円 プログラム:2000円)  もとは、トム・ハンクス主演の映画(88年)が元になっていて、96年  にブロードウェイでミュージカル化された同名ミュージカルを日本に持って  きたという作品である。ブロードウェイミュージカルと銘打っていても  やはり、日本でやるとアンバランスな感じが表に出てきてしまった。  役名が横文字のままなのに役作りというものを考えているのでしょうか?  冒頭の子供たち&大人達のシーンはバックのセットが欧米の家なのに、  演じる人々はほとんど日本のサラリーマン家庭で超違和感が走ってしまい  ました。セリフのところどころに日本の時事ネタが入るのは日本語上演で  あるので仕方がないにしても、ビジュアル的にはしっかり決めて欲しかった  です。2幕のジョシュの部屋では食事(夜食?)に箸を使ってましたし。  スーザン役の酒井法子は例外で、髪は茶髪で外人にありがちなオーバーな  ジェスチャーを交えるなど結構、外人を意識していたと思います。  コメディ部分もうまくボケて客席の笑いを取っていました。  ラスト近くで、ジョシュが少年ということが自分の中で納得できたとき、  口では冗談を飛ばしながらも、恋人から年上の女へ、甘える女から甘え  させる女へ変化していくシリアスな面もうまく表現してたと思います。  ジョシュ役唐沢寿明は外見は大人でも中身は12才の少年という役を見事に  演じきっていました。大健闘だと思います。  この2人の他は、脚本・演出のせいか全くの端役同然であまり物語のなかに  生きてなかったと思います。見せ場はあるにしてもあまり重要に扱われて  いないのですね。ミュージカルの実績のある人がキャスティングされていても  残念な結果になっています。ビリー役、ジョシュ少年役の少年陣は実力が  ついていかないのか見せ場をつぶしている感もあります。(チラシの人と  違うのですが、変更があったのでしょうか?)  作品自体は気に入りました。ストーリー的に判りやすいし、題材も子供も  大人も楽しめるミュージカルであり、曲もオーケストラチックでもなく、  バリバリのロック調でもなく耳になじみやすいもので、さらにダンスシーン  が所々に散りばめられていて飽きない構成になっています。特に半数が  子供である以上、子供と大人の入り交じったダンスシーンが見物ですね。  子役(少女)に南青山少女歌劇団を配したのも効果が大きいです。  ブロードウェイのオリジナル振付はクレイジーフォーユーでおなじみの  スーザンストローマンで、今回の日本版はそのサポートをしていた人に  よるものらしいですが、確かにクレイジーフォーユーを彷彿させるものが  受け継がれていると思います。 でも、ラストはちょっとあっけなかったですね。元(子供)に戻って  家に帰って母親に抱かれて終わり、とあれよあれよと進んでしまいました。  どうして、大人になるときは次の日の朝起きたらで、戻る時はその場  なのか? やはり、その場で戻ってスーザンに別れをするのではなくて  そのシーンは「ゾルターのお告げ」(主人公が大人になるきっかけを作る  ゲームマシン)に包まれたところで終わって、2人のセリフどおり、  10年後にふと再会するところで終幕として欲しかったですね。つまり、  母と少年で終幕ではなく、ジョシュ(唐沢)とスーザン(酒井)という主役  2人で締めて欲しかったのです。親子の愛というのもこの作品の大きなテーマ  ですが、今まで2人の俳優が物語の中心であった以上、最後もやはりそうして  欲しかったです。  プログラムは2000円と高めですが、歌詞がほとんど載っているのと  舞台写真もゲネプロのものなのか練習着ではない写真が載っています。  劇中のキーワード、おもちゃ、小道具の解説、製作裏話なの子供向けに  わかりやすく解説してありますので、許せるといった感じです。  巻末には「ゾルターのお告げ」も付いていますし。(^^;  この作品はフジテレビの開局40周年記念ということでスタッフもフジテレビ  関連で固めていますね。劇中もアンパンマン(日本テレビ)のハンカチで  鼻をかむとか、人形の首を入れ替えてセーラームーン(テレビ朝日)とか  結構なことをやっていました。
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