東宝ミュージカル特別公演
屋根の上のバイオリン弾き
  台本:ジョセフ・スタイン   音楽:ジェリー・ボック  作詞:シェルドン・ハーニック
  訳:倉橋 健   訳詞:若谷 和子・滝 弘太郎    指揮:塩田 明弘
  装置:ボリス・アロンソン  衣装:真木小太郎・真野 誠二   照明:小木 直樹
     振付:坂上道之助   音楽監督:滝 弘太郎   演出:佐藤 浩史

            公演期間 1998年8月5日〜9月30日  帝国劇場
                 料金  S 14,000  A 9,000  B 4,000
    
     観劇日    1998年8月13日(木)  13:00〜  1F E列 17番
 
 テヴィエ  西田 敏行   ゴールデ  上月 晃   ラザール・ヴォルフ 上條 恒彦  
 ツァイテル 杜 けあき   ホーデル  本田 美奈子    チャヴァ   小高 恵美
 巡査部長  船戸 順     司祭   森塚 敏      イエンテ   今井 和子 
 モーテル  岸田 智史   パーチック 福井 貴一    フョートカ   筒井 巧
 ユツック  服部 恭一郎  アヴラム  宮野 琢磨   ヴァイオリン弾き 駒田 はじめ
 ナフム   佐藤 輝    シャンデル 高橋 郁子   フルマセーラ   園山 晴子
 メンデル  越智 則英   モールチャ 石鍋 多加史  ツァイテル婆さん 高塚 いおり 
 ロシア人(テナーソロ) 藤原 章雄   ロシアンダンサー  真島 茂樹
 シュプリンツェ     森  真子   ビルケ       小方 優子   
     
アンサンブル 新井 武宣、関 武史、松澤 重雄、大塚 雅夫、真野 輝彦、香取 新一、
       祖父江 進、市山 登、嶋崎 伸夫、石丸 貴志、坂井 成、村上 幸央、
       宗田 良一、原田 弘幸、伊藤 明賢、山県 昌朗、石母田 史朗、綱島 郷太郎、
       品川 政治、有希 九美、塚本 理佳、河村 奈奈、丸山 知津子、麻希 光、
       永井 英里、岩浪 明美、深堀 晶子、白河 美香

森繁久彌が約20年に渡り900回以上もやってきたという役を西田敏行が引き継ぎ3演目。そろそろ
板についてきたところだと思う。しかし、私はそんな伝統のある名作ミュージカルを観るのは今回が
初めてだ。テーマもちょっと重そうだし、ロシアが舞台というのもあまり馴染みがないしなー、と興味
半分、心配半分の観劇である。

西田敏行はあまりミュージカルでは見ないが、劇団青年座所属でもともと舞台人なわけだし、歌の方も
「もしもピアノが弾けたなら」が持ち歌なのだから順当なキャスティングである。なにより体型が大柄
で一家のお父さんにはピッタリだ。そこに特有のコミカル面も加わっていい感じ。妻のゴールデのこと
を「おっかない(家内)ゴールデ」と洒落てみるセリフはアドリブなのだろうか。少なくとも森繁久彌
が言ってる姿は想像できないなぁ。
他のキャストもオジサン系が充実している。「ラ・マンチャの男」などの東宝の古典ミュージカルでは
ベテランの人々だ。アンサンブルも含めかなり人数は多い。村が舞台ということで人が多いことにこし
たことはない。

ストーリーはユダヤ人社会とかロシアが舞台ということを除けば、普通の家族の話にも見える。3人の
娘が次から次へと恋人を連れて来てお父さんはどうする?といったのが大筋だ。5人も娘がいては大変
だろう。娘の幸せ、自分の幸せ、他人の幸せ、いろいろ絡み合ってテヴィエは生きていく。若者が主役
なら苦悩があっても「勢いでぶつかってしまえ」とか「時が来たら成長して」などで切り開いたりでき
ちゃう物語になってしまうだろうが、いっぱしの大人なので結局苦悩は受け止めながらその中で少し
でもいい方向に向かって進んでいくしかないのだろう。きっと自分がテヴィエくらいの歳にでもなった
らもっと共感できるのかもしれない。

曲はやはりロシアっぽいのが多い。軽快なコサックダンス(?)シーンもあって、特徴がある楽曲に
なっている。サンライズ・サンセット」は有名な曲だが、やっぱ暗いよな〜。

ミュージカル(演劇)の言葉でよくタイトルロールという言葉を耳にする。タイトルになっている役と
いう意味で「エビータ」とか「オペラ座の怪人」とか「アニー」「ピーターパン」など早い話、主役と
同じ意味で使われていると思っていた。この演目では「ヴァイオリン弾き」役はいるけど主役じゃない
んだよねー。「屋根の上のヴァイオリン弾き」はテヴィエの影であり心(落ちそうな危険な場所でも
素朴なメロディを奏でる=強制退去させられそうなユダヤ地区でも素朴に生きようとしている)だそう
なので、確かに抽象的には主役なのかもしれない。

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