宝塚歌劇宙組公演
VISAジャパンミュージカル
エリザベート 〜愛と死の輪舞(ロンド)〜
宝塚1000days劇場
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ 音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
潤色・演出:小池 修一郎 翻訳:黒崎 勇 音楽監督:吉田 優子
振付:前田 清実、羽山 紀代美、尚 すみれ 衣装:有村 淳
制作・著作:宝塚歌劇団 後援:オーストリア大使館
公演期間:1999.2.12〜3.29 料金:A.8,000 B.7,000 C.5,500 D.3,500 E.2,000
99年2月21日(日)15:30 (28列61番)
トート :姿月 あさと エリザベート:花總 まり
フランツ・ヨーゼフ:和央 ようか ルイジ・ルキーニ:湖月 わたる
ルドルフ:樹里 咲穂 エルマー・バチャニー:夢輝 のあ
皇太后ゾフィー:出雲 綾 マックス公爵:星原 美沙緒
ルドヴィカ公爵夫人:高 ひづる グリュンネ伯爵:大峯 麻友
シュヴァルツェンベルク公爵:真中 ひかる ラウシャー大司教:越 はるき
スターレイ夫人:萌水 せりか リヒテンシュタイン夫人:美々 杏里
ヴィンディッシュ嬢:陵 あきの ヘレネ:久路 あかり
ルドルフ(少年):初嶺 まよ マダム・ヴォルフ:鈴奈 沙也
ついにこの世界に足を踏み入れてしまった。。。。。宝塚である。
まだまだ他の演目には興味はないが、海外ヒット作品の翻訳公演は楽しんでみようと思う。
さて、ウィーンで好評を博したエリザベートであるがウィーン版CDを聞く限りではとても
いい曲ぞろいでミュージカル曲のおいしい要素を集大成した感じの曲でこんなに深い話とは
思っていなかった。実在の歴史上の人物をモチーフにしているのでだいたいの流れは想像
できたが、ただの歴史物ではなくどう舞台物語の構成としてまとめたかがカギである。
で、やはり構成としてあがるであろう話題はエビータとの比較である。
どちらも粗野な男を進行役として主役である女の死後からその生涯を語るというやり方では
同じであり、また主役の女が一国の主の妻であり、美貌を武器にのし上がるといったところ
も似ている。違いとしては、やはり今回のエリザベートはあまり自分を見せていないという
点にある。というか、2人の男(1人はこの世のものではない)に挟まれて、しかも長年の
出来事を数時間に凝縮したことにありなかなか描ききれなかったといった方が正しい。
エビータでは最初から貧乏を跳ね返して上に登りつめたいという野望があり、その過程と
維持、崩壊という一貫性があった。そして、何といってもエリザベートの話の流れには
皇太后ゾフィーの存在がでかすぎた。いわゆる嫁姑戦争の物語というのが皇后だからという
のを抜きにすると一般的な話になってしまっている。しかし、トートという人物が出てきて
トートの主役性を強くしてトートの立場で物語を観ていくことにより、エリザベートが深く
描かれなくても全然構わないのだった。ここらへんは登場人物の多さが勝ったといえる。
果たしてトートは主役なのか? 宝塚だからなのか? 疑問が沸くが宝塚版はこれでいいと
思う。
オリジナルからか小池修一郎演出家の腕か、冒頭や場の間などがとてもテンポ良く進んで
いたのは凄かった。無駄な部分が一つもなく演出された感じである。
最後に宝塚ということで言うのはタブーであるが、やはり男役の声が寂しい。ビジュアル的
には良いがやはり声を聞くと舞台に引き込まれるということもなくふと客席に戻ってしまう
感じである。トートは中性的イメージで観ればまだしも、フランツ、ルキーニはふるえる
ような低音が欲しい。とはいえルキーニの台詞の節まわしはすばらしくてお気に入りである。
女役は歌も演技もとてもレベルが高くて、エリザベートもハンガリーの場面などとても美し
かった。衣装も王室ものだからかどうかわからないがとても豪華で良かった。
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