セブンイレブンファンタジースペシャル 新・ピーターパン
   主催:フジテレビジョン、ニッポン放送、ホリプロ    協賛:セブンイレブンジャパン    後援:サンケイリビング新聞社          1999年8月1日(日) 11:30開演                1階1列18番 S席                 新国立劇場 オペラ劇場       公演期間 1999.7.30-8.9  料金 S-8,000 A-5,000 B-3,000      演出/潤色/訳詞:釜 紹人     音楽監督/指揮:宮川 彬良     翻訳:秋島 百合子   衣装:小峰 リリー   振付:玉野 和典 フライングデザイナー:ピーター・フォイ    エグゼクティブプロデューサー:堀 威夫 キャスト:      ピーターパン   笹本 玲奈    ウェンディ    小沢 真珠      ダーリング夫人  福麻 むつ美   タイガーリリー  梅村 陽子       フック船長/ダーリング氏    古田新太 ジョン 鹿嶋優子 マイケル 鎌田佳祐、高橋隆大(ダブルキャスト、どちらが出てたか不明) 海賊ジェークス/大人ジョン 咲野俊介   海賊マリンズ/大人マイケル 池上竜馬 海賊スミー         村木 仁   海賊スターキー       久ケ沢徹 海賊ヌードラー       和田大法   海賊チェッコ        西村新治 迷子たち      安倍真琴、志村 愛、白神直子、森藤規子、箭野麻理 インディアン    芦原由幸、井面猛志、白井昌史、日比野啓一、松上じゅんや、           岩村薫、中島暢子、中原志麻、山内順子 ジェイン/インディアン/ピーターパンの影    奥山桃子 ナナ/トト     竹鼻千恵子      ワニ   西 貴史 18年以上毎年やっていて、チラシ等によると日本で3番目の上演回数を記録しているそうで あるが私は初見である。また、普段オペラをやっているその名の通りオペラ劇場ということで 楽しみに観劇日を迎えた。 劇場はさすがにオペラをやっているだけあってなかなか広く、客席数も多い。4階席まで あってちゃんとボックス席らしい脇の席もあった。近代的な内装なのでヨーロッパのように 豪華絢爛さはないものの日本らしいシンプルかつ機能重視な劇場と見た。 さて、ピーターパンの方の感想に移るが、一言で言ってメインの女優である、笹本&小沢の キャラクターが良かった。笹本ピーターパンはちょっとセリフがうわずったり、言い直したり していたが、勢いが余った元気なところが幼い少年ぽくて良い。女優としての将来が楽しみ というより、本当にこのまま大人にならないで! といった感じがして何年もこの幼い少年の ままピーターパンを演じつづけて欲しい気さえする。小沢ウェンディは、母親のまねごとを する幼い少女の雰囲気がよくでていた。NHKの朝ドラ(甘辛しゃん)とかに出ていた 小沢真珠は若くても結構自立していて落ち着いた大人の女という感じがしていたのでそれが オーバーすぎるほどのキャピキャピした(死語?)少女の演技をすることにより、子供と母親 がほどよくブレンドされて現れていたと思う。 古田フックは芸は評判通りで歌も結構聞かせてくれた。かけあいの間の取り方も妙に良く、 悪だけど憎めないこういう作品のキャラクターには確かにピッタリである。ただ、アドリブ っぽい時事ネタはやめて欲しいなー。これが好きな観客もいるだろうし笑いが起こるツボでは あるが、「ブロードウェイミュージカル」という看板を掲げるならそういう方向でウケを 狙って欲しくない。 噂のフライングは大きな舞台なだけに大迫力ですばらしい。他の場所でも公演するが他の 劇場でもこれだけの迫力がでるのだろうか? やはりこの劇場で見て良かったと思った。 1幕ラストのネバーランドに旅立つ時のフライングはかなりの見せ場だと思うが、覚え易い メロディと三人の姉弟の縦フライングとピーターパンの横フライング、そして遠のく街並み を描くセットの動きに圧倒された。 構成は3幕構成だが休憩が多いと思ったものの、前述の通り初見の劇場の見学時間に当て られたのでさほど気にならなかった。総じてストーリーと場面の構成はうまいと思った。 カーテンコールで笹本ピーターパンが客席上に飛んで来た時は思わず「うわっ」と声を上げて しまった。その時の笹本ピーターパンの表情も最高だった。決して微笑みかけているわけ ではないが、物語の中から出てきても大人の存在を認めてくれるといった様子で、劇中で大人 を嫌ってたためか自分からは遠い存在に見えたピーターパンに、この時、近づけたと思えた。 なんとなく、自分からしてみれば劇中のピーターパンを見る目は自分の子供の頃の目で 見てた気がしてたらである。カーテンコールでは大人の自分が見ていた。 これだけハードもソフトも揃ったいい作品であるが、なんとも残念なのは、作り手から見た 観客の対象が子供向けに徹したプロダクションなことである。ロビーにいる着ぐるみの ピーターパンとフック船長とかはいいとしても、パンフレットも1500円もするものの絵本 みたいな内容なので買う気にもなれない。舞台の内容にも、ティンカーベル復活のくだりも なんとかならないかなー。もっと大人でも見ていて楽しめるようにまわり(制作側の意識) から固めていかないとダメですね。
top