地球ゴージャスプロデュース公演vol.7
クラウディア
日生劇場
         作:岸谷五朗    演出:岸谷五朗 寺脇康文
          主題歌:「FRIENDS」 サザンオールスターズ
     衣裳デザイン: 山本寛斎    美術:土屋茂昭(TSUCHIYA CO-OPERATION)
   殺陣:島口哲朗(剱伎衆かむゐ)  振付:NAO 吉野記代子 ただこ 平沢智
          製作:  松竹株式会社 株式会社アミューズ 

  毘子蔵(ひこぞう) 岸谷五朗   細亜羅(じあら)   寺脇康文
  クラウディア     本田美奈子  神親殿(かしんでん) YU−KI(TRF)
  龍の子  風間俊介      ヤン 平沢 智     おりえ  三咲レア 

    小野真一、林希、能見達也、松本光子、渡辺夏樹、吉野記代子、NAO、
  福島カツシゲ、HARU、原田治、武井秀夫、斉藤直樹、今野直美、石倉良笙、 
  ただこ、柳橋さやか、苑宮令奈、西村沙也伽、熱海将人、神崎順、石川剛、
  田澤啓明、坪井美奈子、那須幸蔵、一井優希、伊藤有希、栗原亜紀子、甲斐まり恵、
  今泉由香、志村愛

        公演期間:2004年5月6日(木)〜5月29日(土)(28公演) 
        料金: S席 10,500- A席 7,350- (全席指定・税込)

   観劇日:2004年5月27日 19:00〜 2FC列24番(A席)

 ABBAの曲で綴ったミュージカル「MAMMA MIA!」を初めてロンドンで観た時に、
 これはスゴイと思い、既にロンドンではその形式を真似て他アーチストの曲で綴った
 ミュージカルも準備されていたので「日本でもやるなら、サザンかユーミンだなー。」
 と当時思ったのであるが、ついにその予想は現実のものとなった。

 1幕は結構、ダンスや歌も入り、ストーリーがテンポ良く流れて、かなりいい調子。
 特に岸谷五朗が登場する「恋のジャックナイフ」のところは、かなり良く出来ていると
 思う。息も乱さず、鮮やかな振り(殺陣)付きで歌っているのは多分録音(口パク)
 だと思うが、舞台の中心人物(毘子蔵とおりえ)をうまく目立たせながらの群舞は曲の
 盛り上がりも手伝って1番印象深いミュージカルシーンである。
 山本寛斎の衣装と、照明、セットがかなりうまくシーンにマッチしているとも言える。
 かなり踊りにくそうな衣装ではあるが古代とも近未来ともいえぬ感覚がさすがは世界の
 カンサイである。
 あとは、ギャグというかボケツッコミ寸劇がところどころ入ってお笑いを誘いながら
 進行していくが、これは地球ゴージャスの本領か。
 2幕は長伸び。テーマが重くギャグもなくなり、そして、歌もなくなる。このあたりは
 ミュージカルから脱して普通の演劇になってしまっている感じ。「愛の言霊」のあたり
 はその曲調や全体的な頃合いからしてストリート系の一番激しいダンスナンバーにして
 も良いはずであるがちょっとゆっくりめのダンスで押さえられているのが残念。ラスト
 間際(延々と続く切り合いとかメインキャストがだんだん死んで行くところとか)にも
 何曲か絶唱曲が欲しいところ。でも、そもそも主役二人が歌担当ではないからなー。
 主役二人がラストに歌わずに死んでしまうというのはちょっとミュージカルとしては
 困ったちゃん。普通、幽霊として復活しても歌うもんね。というか、メインキャストが
 7人中6人も死んでしまってそのまま終わるということ自体ちょっと考えものかなー。
 というわけで歌担当の本田美奈子のみ生き残って最後を締めるというのはいいのか悪い
 のか。そういえばミス・サイゴンでは本田美奈子一人だけ死んで終わったなー。
 その逆か。なんてことを考えたりして。

 サザンオールスターズの曲を使用しているのは曲は元々いいし、耳に馴染んでいるので
 正解なのだがアレンジしすぎかも。というか初めて気付いたがサザンの曲って桑田佳佑
 の声が特徴ありすぎていて他の人が歌うには向かない曲なのかも。
 ラストのFRIENDSは主題歌だからか桑田佳佑の声でテープが流れるが、やはりそれは安心
 して聞ける。そのあと本田美奈子がテープ声の桑田佳佑とデュエットしてしまうという
 趣向もどうかと思うけど。
 あと曲に関して言えることは歌詞とストーリーが合っていない。テンポ的にはイメージ
 がそうかなーって感じがしたりするが、やはり「由比ヶ浜」とか女優が「君が女で・・」
 とか歌ってるのはメチャクチャ。この作品のための書き下ろし曲というFRIENDSも
 「妹よ〜」と言われてもどこにも妹いないじゃん状態のストーリーでは駄目でしょう。
 この点、MAMMA MIA!は既存の曲をそのまま使って(若干、代名詞等の変更はあるが)
 ストーリーに完全に合っているってすごいなー、と思う。

 ストーリー設定的にはまぁ、根国と幹国(みこく)という対立するグループ間の恋と
 いったミュージカル向き(WSSとかアイーダとか?)であるが、ラストはミュージカル
 向きじゃないなー。ついでに言うとカーテンコールもミュージカル向きではないかなー。

 製作のニュースが発表された時は、やはり「MAMMA MIA!」との比較で「サザンの曲を
 ちりばめたミュージカル」とPRされていたが、上演するのがミュージカル劇団でも
 東宝でもない、演劇(ストレートプレイ)をやってきた地球ゴージャスだからか
 ミュージカル方面ではあまり宣伝されずに、表記も「音楽劇」というようになっている
 のはこういう意味もあるのか、ちょっと不安定な感じである。


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