エステー化学ドリームミュージカル
赤毛のアン
新宿文化センター

         主催:エステー化学        製作:イマジン 
            原作:ルーシー・モード・モンゴメリ
  脚本:上村祐二      美術:岩崎顕二        衣装:神場靖江 
  プロデューサー:戸田幸比古       ゼネラルプロデューサー:山田比古三 
        演出&振付:田村 連        音楽:山口I也


 アン・シャーリー:  山川恵里佳    ギルバート・ブライス: 原田 篤
 ダイアナ・バリー:  三井 捺々    ミニー・メイ:     河野ちひろ
 マシュウ・カスパード:畠山 智行    マリラ・カスバート:  山下 清美   
 リンド夫人:     大和田りつこ   バリー夫人:      南 花鈴  
 フィリップス先生:  関根 淳     ブレア医師役:     設楽みのる
 ルビー・ギリス:   鍵山 貴代    駅員:         野口 徹 
  
  村松希美、佐久間夕貴、柳田華奈、濱野友美、安藤由紀、大野朱美、前田美沙、
 最上沙英、鈴木千奈美、中村沙綾、左川桃子、三代川柚姫、山本理加、波多野桃子、
 森部万友佳、大高美緒、村松早、武蔵谷明日香、菅野友香、来島玲衣、中村麻美

      観劇日:2004年8月24日 11時〜  1階12列54番

 「赤毛のアン」といえば四季版や国連クラシックライブ版などで見ているが、同じ原作
 が作り手によって変わっていて妙である。ウェストサイドストーリーが四季でやっても
 宝塚でやっても少年隊がやっても曲やストーリー進行は同じなのに対し、こちらの場合
 は脚本、構成、曲がそれぞれ違うので比較する意味でもかなり楽しめる。
 今回はミュージカル座や東宝作品でも活躍の山口I也の作曲である。

 音楽はミュージカル専門家の山口I也らしい、ミュージカル王道的メロディだが、若者
 なんだから激しいダンスナンバーも欲しいところ。練習の問題もあると思うが1曲1曲
 が孤立していて、デュエットなどのかけあいのナンバーが少ない。
 シーンのつなぎもちょっと無理矢理。劇場の問題もあると思うが、大道具、小道具は
 出演者が運ぶ。その都度、踊りながらバックダンサー的に出入りして道具を運ぶのだが
 回数が多く、いつも踊ってポーズを決めたりするので少々飽きる。

 最初の歌がリンド夫人によるものだが、特別出演格のアニメ「赤毛のアン」主題歌を
 歌っていた人らしい。最初の曲を歌うというのはかなり重要な位置を占めているのだろう
 がリンド夫人がマシュウ、マリラを差し置いて重要な役に扱われているのは、赤毛のアン
 的にはいいものか?
 この扱いはリンド夫人以外の俳優は何役も兼ねていることからもわかる。逆に他の製作
 では重要な位置を占めているステイシー先生は1シーンに出てくるだけでで誰がやって
 いるのかも不明。フィリップス先生もほんの少しの登場で生徒とのラブラブなシーンも
 ない。本人もネタにしていたが授業はやたら時間が短い。ミニー・メイは逆に他ではいる
 のかいないのかわからない感じだが今作では結構目立つ役である。

 ストーリー的にはかなり省略という感じ。というかアンが来てマシュウが死ぬまで1年の
 期間になっているようだ。アンがギルバートの頭を殴る石板がただの教科書になっている
 など日本の子供が見てもさらりと理解できるような変更もあった。

 さて、主役の山川恵里佳であるが、背が小さいためか、かわいい感じがして良い。写真で
 見るより実際に見た方がアンという感じである。ちゃんと子供に見える。(しかし、劇中
 で11歳と言っていたような気が・・・・。)セリフも子供っぽく抑揚があって元気。
 ちょっと訛り(東北弁?)があるようで、それもなんか子供っぽく感じられる要因。
 テレビでは芸能人社交ダンス部で見たことがあるが、それを裏付けるダンスシーンが欲し
 かった。
 三井ダイアナもかわいい感じ。今作のためのオーデションで一般からデビューとのこと
 だがいかにも小さいころからバレエやってました、という感じ。ダンスもバレエ調の
 ダンスが多いが、群舞の中でゆるやかにポーズを決めていても手先が一番きれいである。
 今後ミュージカル女優になるのかわからないが、是非頑張って欲しいと思う。
 原田ギルバートは、音程は外してないが、とても単調な歌い方。声量の抑揚と声質が
 いまいちで印象に欠ける。特撮ヒーローもの出身ということでヤングママ陣へのアピール
 キャスティングだと思うが、会場はカーテンコールでも至っておとなしいものであった。

 それにしても提供しているエステー化学はすごい。全国公演も含めて全て客は無料招待
 でしかもお土産付きでこれだけのミュージカルを作ってしまうのだから。
 お土産は芳香剤ばかりであるが、プリンスエドワード島をイメージさせるメープルの香り
 の消臭ポットが入っていたのはうれしい。毎年やっているみたいだし、はっきり言って
 すばらしい宣伝効果。企業イメージは相当アップです!!(私の中で。)


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