森は生きている
アートスフィア

        作:サムイル・マルシャーク      訳:湯浅芳子
    演出/作詞:忠の仁        脚本/プロデュース:川崎 登
   振付:名倉加代子     作曲:脇田峻多郎      衣装:宇野善子

         制作/主催:テレビ朝日、ライズ・プロデュース
           協賛:ホンダクリオ新・東京、GOGGI

     娘:遠藤 久美子    女王:神戸 みゆき 
    継母:今 陽子      義姉:鳴海 じゅん 
    老兵:沢木 順      博士:ROLLY     総理:倉田 秀人 
    兵隊:神崎 順      兵隊:宗田 良一 
   女官長:石井 美奈子   女官@:夕貴 まお    女官A:江部 珠代
   若者@:佐倉 真衣    若者A:小出 由華    若者B:伊藤 由夏
    1月:松岡 英明     2月:山咲 あい     3月:森 ひろこ 
    4月:白川 裕二郎    5月:西村 沙也伽    6月:西島 来美
    7月:熊谷 知花     8月:大坂 俊介     9月:真家 瑠美子 
   10月:冨岡 真理央   11月:大沼 百合子   12月:あぜち 守 
  うさぎ@:林 梨惠子   うさぎA:宮田 はるな  うさぎB:三澤 理栄 
  うさぎC:篠原 さや   うさぎD:神岡 実羅乃  うさぎE:小林 夏実 
   リス@:近藤 陽子    リスA:小田島 クリ   リスB:吉野 砂里 
   リスC:グース 万理紗  リスD:清宮 愛結花    リスE:鈴木 満梨奈 
   カラス:芝崎 健太   オオカミ:西川 卓 
  森の精@:稲津 亜紀   森の精A:岩崎 多賀子  森の精B:藤山 すみれ 
  森の精C:大澤 恵    森の精D:進藤 由利 


       公演期間:2004年 8月21日(土)〜8月29日(日) 全12公演  
     座席料金:SS席8500円、S席7500円、SA席5000円、A席2500円(税込)

    観劇日: 2004年8月26日  14時〜   1階M列15番(S席)


 ロシア版シンデレラだそうで、昨年もやったとのこと。キャストを一新しての再演とある。

 確かに、人物設定はシンデレラと同様で主人公の娘が意地悪の継母と義姉にこれでもかと
 いじめられているが・・・という話であるが、ラストが果たして幸せになったのか、、、
 というあたりが明確にされていなくて、多分幸せになったのでは?あたりで終わっている
 ところがちょっとストーリー的に弱い。それ系の話につきものである「王子さま」が登場
 しないのもその感覚を強くしている。

 主役は遠藤久美子、いじめられていて泣きそうな顔でも笑顔に見えて、このような湿っぽい
 演目でもそんなに暗い気分にならずに良い。かわいい感じだが役柄のためか主役なのに歌も
 踊りも影のようにおとなしくなってしまっているのは残念。だからと言ってはなんだが、
 最後の最後、カーテンコールラストの「ありがとうっございましたぁーっ!」が微笑ましい
 というかちょっと感動もの。

 それに対して王女役の神戸みゆき、元気どころをすべて持っていってしまっている。いき
 すぎな程元気な感じが良い。登場シーンからバンバンとテンションが高いあたりも良い。
 さすがに元セーラームーンだけあって華があり、存在感もある。声もアニメ系でワガママ
 王女にはピッタリ。

 ミュージカル系の大御所として沢木順、出番が少なくちょっともったいない。歌ももっと
 アップテンポなのが欲しい。「メトロに乗って」のアムールとちょっとかぶる役ではある
 がストーリーにもあまり絡まない全く活躍どころのないアムールである。

 博士役のROLLY、イメージ的にはインテリ系でまじめな役柄で、キャラを押さえざる
 を得ないという感じでこちらも、もったいない使われ方。登場まもなく、ギターをかかえて
 ロックスター調に歌う場面があるが、確かにこれをやるならピッタリ。しかし、インテリの
 博士がなぜロックスターに??とROLLYだから取ってつけたような演出?とも疑いたく
 なるようなアンバランスな展開に疑問。

 一応、主人公の相手役は4月の白川裕二郎のようなのだが、たまたまマツユキソウの季節の
 担当だったから、、、的な感じしか伝わってこない。出番も多くないし、ピンチを目の前で
 救うとかの活躍場面が用意されてるわけではない。体が大きく、「ファイト一発!」的な
 感じなので12の月の妖精(?)中では、違和感もあって目立っているが。歌も目立たず。

 12の月も12人揃うと迫力ある。老若男女いろいろいて、こういう仲間っていいなと
 思わせる。その中でも1月の松岡英明が良い。話の舞台の正月の担当月だからかもしれ
 ないが、若いのにみんなをまとめているという存在感というか抱擁感もある。セリフもなか
 なか威厳があっていい感じ。12月も一族の長(おさ)という感じで一歩引いた重厚感が
 良い。

 ダンスはアンサンブル(動物たち、妖精たち)のダンスは特に「名倉加代子ジャズダンス」
 という感じでスタジオ発表会的な躍動感がある。シーンのつなぎにこのチームのダンスを
 多用しているわけだが、中でもカラスとオオカミという男性ダンサーが見せるパントマイム
 的なダンスは結構な見どころである。いわゆるダンス版狂言回し的役割でカラスに至っては
 ほとんどのシーン舞台後方で傍観者的に見ている。

 曲も結構しっとりとしたメロディあり、王室系や母姉系ではアップテンポ調なのもあり、
 多彩である。きれいなメロディは違う場面でも繰り返したりとミュージカル的な仕上がりが
 いい。最近は、こういうあたり前なことができてなくて、ただの独立した曲の寄せ集め作品
 も多いので、これだけでもちょっとうれしいのである。

 歌の頻度も多く、衣装やセットもしっかりしていて、全体的にもミュージカル好きには満足
 のいく作品になっている。12公演しかないのでもったいない気もする。それが災いなのか
 どれほどの練習期間があるのかわからないが、セリフを間違って言い直しをした人が私が
 気付いただけで2名いて残念。

 ロビーはグッズ販売テーブルがいくつか出ているが、パンフや出演者関係のものは普通と
 して、ポスターやビデオ予約、そして、台本まで売っているのがすごい。(サイン入り)
 さらに劇中にからんだアクセサリー(銀製でかなり高め)も売っていた。


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