OFF BROADWAY MUSICAL
GODSPELL ゴッドスペル
 東京芸術劇場中ホール

  作詞・作曲:スティーヴン・シュワーツ       脚本:ジョン・マイケル・テベラク
  翻訳・訳詞・演出:青井陽治     音楽監督:樋口康雄      振付:本山新之助
  美術:朝倉 摂    照明:沢田祐二    音響:山本浩一   ヘアメイク:馮 啓孝
  衣裳監督:宇野善子     衣裳:文化服装学院      舞台監督:二瓶剛雄
  プロデューサー:初見正弘       企画・製作:オン・タイム 

            ジーザス:新納 慎也      ユダ:大沢 樹生
         堀内敬子、真織由季、仲代奈緒、林田和久、真矢 武、宮川 浩
秋山エリサ、飯野めぐみ、satsuki、綾野はる、野島直人、中塚皓平、川原一馬、海老澤健次、岡田亮輔

  公演期間:2005年9月22日(木)〜10月2日(日)  公演料金:S席7,800円/A席6,500円(税込)

       観劇日:2005年9月28日(水)14:00〜 1階O列32番(S席)

キリストとユダが出てくるミュージカル、というと真っ先に思いつくのは四季もやっている「ジーザス・
クライスト・スーパースター」であるが、この作品もそうである。しかも、2作とも1971年にニュー
ヨークで公演が始まり、実はこちらの方がロングランしたらしい。あまり知られていないし、私も初めて
観るが、日本でも何度か公演している。

観てみると、なんか全然違うなー。こちらは子供向け、というか、子供たちが「聖書ごっこ」的に遊んで
るような感じ。難しい内容を、歌、踊り、たとえ話、ゲームなどを通じてわかりやすく楽しんで理解しま
しょうという意図なのか。だからジーザス役だ、ユダ役だと言っても結局は「ジーザスを演じているどこ
かの子供」役なのだろうね。舞台中央のジャングルジム(公園?)のセット、カラフルな子供っぽい衣装、
顔のシールやペイントなども子供の世界を連想させている。

そんな子供の世界を大の大人たちが大ハシャギしながら演じているのが面白いのかもしれない。いつもと
は違った俳優の顔が見れそうだし。女性客には特に気に入られそうだ。

そのキャスト陣。新納ジーザスは汚れなき純朴な青年さが出ていて良い。どこか山本耕史っぽいかな〜、
と思っていたが、数年前はこの役を山本耕史がやってたそうだ。やっぱ意識してるのか。
大沢ユダはアドリブ(?)はやめた方がいいと思うな。客席ではウけていたようだけど。歌は冒頭の登場
からスローテンポで聴かせていて特徴があるが、この時の役ってユダじゃなくてヨハネなの???
ベテラン宮川浩。やはりいいところを押さえている。でも周りの年齢層の中では別の意味でも目立つな〜。
堀内敬子もいいところで活躍。ヒロインというより脇役でいいところをさらうタイプに成長したらしい。
他も歌えるキャスト陣が多い。他にもタップ担当(?)などいろいろ特徴あるメンツを揃えている感じ。

曲はいい感じで「Day By Day」やUPテンポの曲がいい。ちゃんとカーテンコールにも使われて
いる。でも曲数は少ないのが残念。ほとんどが聖書の内容を延々説明するセリフ芝居部分なのでもっと歌
に乗せて説明する部分もあってもいいと思うけど。
ダンスも見せ場としてはあまりなし。そもそも動きあるダンスをするには舞台中央にどーんとジャングル
ジムがあって邪魔なんだろうな。ダンス以外では重要な役割を果たしているセットなんだけどね。

1幕終了後に観客を客席から舞台に呼んでワインをサービスするという演出はおもしろい。近くだったら
是非行きたかった。冒頭も早い時間からキャストが舞台上にいるし、観客との一体感を意識した演出に
なっている。
衣装は冒頭以外はずっと同じ服で進行。衣裳担当は文化服装学院とクレジットされているが、学校の生徒
がデザインしたってことだろうか。POPでカラフルな感じはさすがに斬新ではある。
そのほか舞台上では冒頭の洗礼シーンの水なども有効に使っている。

総じてキャストの少なさも手伝って手作り感がある作品になっている。スタッフ欄を見る限りだいぶオリ
ジナルとは違うので本来はどうだったかは不明だが、海外だったら子供の宗教教育にもなりそう。日本で
はそもそも聖書ってのに馴染みがないので、子供に見せるというより、結局は大人が観るしかないのか。
厳しいなぁ。実際、子供客はいないようだったし、S席後ろは空席だったし。ただ、ロックミュージカル
という分野なのでいろいろ若者向けを意識しているのは間違いない。どういうわけか今回この作品観て、
RENTが無性に観たくなった。

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