ビューティフル・ゲーム THE BEAUTIFUL GAME
青山劇場
 
   作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー      脚本/作詞:ベン・エルトン 
   演出/振付:ジョーイ・マクニーリー     翻訳:黒田絵美子  訳詞:高橋知伽江
   音楽監督:清水恵介   美術:土屋茂昭   衣裳:十川ヒロコ  照明:吉川ひろ子 
   ムービングプログラム:吉枝康幸        ムービングオペレーター :渡辺雪江
   主催/企画/製作:フジテレビジョン       協力:(財)日本サッカー協会

   ジョン・ケリー      :櫻井 翔    メアリー・マガイア   :安良城紅
   トーマス・マロイ     :山崎裕太    ダニエル・ギレン    :黒田勇樹
   ジンジャー・オショーネシー:脇 知弘    クリスティーン・ワーナー:華原朋美
   オドネル神父       :浜畑賢吉    デル          :安倍康律
   バーナデット       :遠藤麻綸    プロテスタントガール  :浅野実奈子

  青山航士、近藤大介、坂元宏旬、佐々木誠、下道純一、野島直人、羽山隆次、原口勝、
  原田優一、宮川ギナ、横田裕市、横山敬、五辻彩子、紀元由有、栗原由佳、谷合香子、樋口綾

         公演期間(東京公演)2006年3月27日(月)〜4月15日(土)   
         公演料金:SS¥12,000 S¥11,000 A¥9,500 (税込)

   観劇日:2006年4月8日(土)17:30〜 2階A列32番(SS席)

 まさか日本でやるとは思っていなかった公演である。しかも今さら、しかも四季以外で。

 5年前にロンドンで観て以来で記憶があやふやなのであるが、それでも結構、装置や演出違って
 いてビックリ。ロッカールームなどはなんか要領よく(効率よく)作られていると感じた。こう
 いうのは日本人の手にかかるとお手のものなんだろう。もちろん、オリジナルとは別の人が担当
 しているので違うのはわかるが、私が印象に残っているロンドン版のいいところが全てなくなって
 いるのは悲しい。
 たとえば、瓦礫だらけのプロセニアムアーチとかダンスしながらベッドを解体するアンサンブル
 とか、その後に燃え上がる炎がないのが残念。まあ、炎は同じジャニーズ系某公演でボヤ騒ぎが
 あったばかりなので慎重になってるのはしょうがないかもしれないけど。
 1幕のメアリーとプロテスタントガールのナンバーの時の映像もなんか背景に全面投影って芸が
 ないし。なんかこういういいところはちゃんと残してやって欲しい。

 結婚式のシーンにアイリッシュダンスシーンがあったのは印象に残る。やはりご当地ダンスは
 必要だ。サッカーダンスもなかなか良かったけど、やはりロンドン版(メリル・タンカード振付)
 の時に受けた斬新さや衝撃にはかなわない気がする。昨年同じジョーイ・マクニーリー振付の
 ウエストサイドストーリーを観たってのがあるかもしれないが、ウエストサイドストーリーに
 やはり似ている。確かにサッカーボールを使って別物らしく見せているが、ロンドンはサッカー
 ボール使ってなかったと思う。つまり肉体の動きだけでサッカーを表現していたのであって道具
 にたよらない文字通りの「振り」だったのだ。

 ラストもはっきりと記憶にないが違っている。今回、子供は最後まで赤ん坊(人形)だったが、
 ロンドンは確かに5、6歳の子役が出て来てボール蹴っていた。トーマスのセリフにあったが、
 「闘争を次の世代につないだらこちらの勝ちだ」というのを色濃くするなら、次の世代が登場する
 というのは重要だと思う。しかも闘争ではなく、サッカーボールを蹴っているというのが全てを
 物語るクライマックスシーンなわけだろうから。
 その前のメアリーがチームメンバーのその後を語るシーンもただメンバーに照明あてて終わり
 とは・・・・。何枚かふざけた写真のポーズを実際にやることで、楽しかったあの頃がガンガン
 観客の胸に迫り悲しいラストとギャップが出て感動するのになー。
 というか、ジョンが帰ってきて二人揃ってハッピーエンドになった時点で、それまでの話はぶち
 壊しでしょう。これはやはり主演の櫻井翔がラストにいないと絵にならないからという配慮なんで
 しょうか。ストーリー的にもなんの脈絡もなく突然、固い志を貫いたはずの任務(?)を捨てて
 「船に乗らなかったよ〜」って言われてもこの作品のテーマ的には逆効果ですよね。
 
 総じてメインキャストはミュージカルとは違う畑の人々だから歌に関しては違和感あるなぁ。
 しかも、他の人の曲ならまだしもロイドウェーバーの曲ってのがその印象をさらに強くしている。
 よほど練習しないとこの人の曲を歌いこなすのは大変だと今回のキャストが身をもって証明して
 くれた格好になってしまった。劇団四季を良い面を再認識した感じである。

 カーテンコール、ジャニーズお得意の曲なしカーテンコール。これっていつも思うけどミュージ
 カル的には×。途中、バンド10人くらいがステージ脇から礼をしに出てくるが、そんなことより
 ミュージカルなんだから演奏する方が大事だと思います。
 全て終わって幕が降りてから多分録音だと思うが1曲だけタイトルナンバーがかかるだけでも今回
 はマシであるが。

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