ミー&マイガール
帝国劇場
 
作詞・脚本:L・アーサー・ローズ&ダグラス・ファーバー 
        作曲:ノエル・ゲイ    改訂:スティーブン・フライ 
翻訳:丹野 郁弓   訳詞:高橋 亜子   衣装:小峰 リリー  振付:玉野 和紀
指揮:塩田 明弘    演出:山田 和也    製作:岡本 義次、吉田 訓和 

     ビル:井上芳雄     サリー:笹本玲奈     ジャッキー:純名りさ
   ジョン卿:村井国夫 マリア公爵夫人:涼風真世     ジェラルド:本間憲一
パーチェスター:武岡淳一 バターズビー卿:阿部 裕 バターズビー卿夫人:福麻 むつ美 
 ジャスパー卿:花房 徹   チャールズ:丸山博一  ミセス・ブラウン:伊東 弘美

アンサンブル
 安倍康律、乾あきお、大江尚毅、大須賀ひでき、折井洋人、佐嶋宣美、須田英幸、諏訪友靖、
 照井裕隆、 名児耶洋、登坂良樹、橋本好弘、日比野啓一、三井 聡、村上幸央、横沢健司、
 横田大明、秋山千夏、浅野実奈子、石井 咲、石田佳名子、井上喜代子、宇田ひろこ、
 黒川鈴子、小石川園美、後藤 藍、寿 依千、 坂本法子、渋谷 愛、熬ヒいおり、
 玉置千砂子、ちあきしん、中村友里子、保泉沙耶、諸戸菜生美  
  
         公演期間:2006年6月2日(金)〜6月26日(月) 
         料金:S席12,500円 A席8,000円 B席4,000円(税込)

   観劇日:2006年6月13日(火) 13時30分開演 2階F列33番(A席)

ニュージェネレーション!ミュージカル界のニュープリンス&プリンセス主演と大々的に宣伝
している。確かに前回の唐沢寿明&木村佳乃版に比べるとネームバリューでは一般客向けには
落ちるがミュージカルファンにとってはまさに待ってました感あふれる的確な配役である。
それ以外の配役は涼風真世がジャッキーからマリア公爵夫人役になったくらいで大きな変更は
なく、安心して見れるキャスティングになっている。

さて実際に観てみると、歌自体は2人とももちろん文句なしにうまいのだが、醸し出す雰囲気
がプリンス&プリンセスなので、お上品さが自然に歌にも出ちゃうんだよね。前半は特にああ
いうキャラ設定なのでタイトルナンバー「ミー・アンド・マイ・ガール」など即、貴族の仲間
入り〜って感じになってしまい違和感があった。セリフ場面でもコメディぶりは前回の2人に
はかなわない。特に唐沢ビルの芸達者ぶりが凄かっただけに、ビルの小技などはほぼ踏襲して
いるものの完成度は8割程度で越えるどころか並んでもいない感じ。サリーのボケぶりも木村
サリーの方がうまかった。でも今後に期待という感じが強く、4、5年後くらいにはピッタリ
くるかもしれない。

純名ジャッキーは清純派イメージ打破的キャスティングなのか、年齢的にもそろそろこういう
役に挑戦してみたというのか、どうもハマリ役って感じではなかったが、井上ビルを相手に
あまりフィットしすぎると「年下の男を誘惑する年上の女」という感じが濃くなってしまって
マイナスなのでこの不安定さくらいがいい感じである。涼風真世は今回のマリア公爵夫人の方
が前回のジャッキーよりいい感じに思えた。先祖がたくさん出でくるあたりはさすがに毅然と
していていい。ただ少し違和感があるのは村井国夫とカップルというのが年齢的に微妙、と
いうことぐらいで村井ジョンの方が白髪頭ではなくもっと若作りしても良かったかなと思う。

武岡パーチェスターがかなりいい。前回より歌も動きもかなり慣れた感じになっていて完全に
自分と一体化した役になっているようで驚いた。福麻バターズビー卿夫人は太った役作りで
最初誰だかわからなかったが、随所で目立っている。笹本玲奈がその昔、ピーターパンだった
時はダーリング夫人だったんだよねー。感慨深い。

アンサンブルも多くていい。久しぶりにこんなに多いキャストを観た気がする。これだけいる
と洗濯物投げ(?)のシーンも凄い状況になり効果大。また散乱した洗濯物が一瞬のうちに
片づけられるのも見事である。男性アンサンブルは黒髪と茶髪が半分くらい入り交じっていた
のに女性アンサンブルは茶髪のみというのはどうかな。

曲もいい曲が揃っている。東宝は「ランベス・ウォーク」をかなり前面に出して宣伝している
ようだが、これだけいい曲が他にもあるので、1つに集中させすぎるのは逆効果になりそうで
心配だ。みんなで踊ろうと観客を巻き込もうとする姿勢はいいけど、エスカレートしすぎて
強要しないようにして欲しい。開演前にアンサンブルが振りをレクチャーしているお遊び企画
も歓迎ではあるが、ロビーで、しかも2階へ行く階段(2つある方のメインの方)を塞いで
やっているのは良くない。帝劇で評判が悪い「混雑しているロビー」がさらに混雑するし開演
ギリギリまでやっているので見ていた人が席に着くまで余計な混雑と時間が生まれる。舞台の
前面に本番中にキャストが同じく観客を踊りに先導する広いエリアがちゃんとあるんだから、
そこで開演前のレクチャーをすればいいと思う。

あとオーケストラがかなり目立つ演出になっている。最初に入場してくるところから始まり、
ラストはミュージカルでは異例の指揮者の合図でオケ全員が立って観客の拍手を受けるという
通常のコンサート状態だ。そして、注目すべきは指揮者。すでにミュージカルオケ界では有名
な塩田氏。以前から「踊る指揮者」として有名だったが、ついにキャストを差し置き自分から
先頭をきって踊ってしまうという快挙!
 
客席はちらほら空席も目立つし、四季のように空席状況が印刷された紙を配り、リピーターを
呼び込むなど集客に苦労しているようだが、また数年後に再演を願いたい。

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