劇団ふるさときゃらばん公演
地震カミナリ火事オヤジ
日本青年館
     作・演出:石塚 克彦        演出助手:天城 美枝
     音楽:寺本 健雄       チーフプロデューサー:ひらつか順子
     振付:小澤 薫世/劇団ダンススタッフ タップ振付:粟村 勝
     衣裳:陣内 あかり/石田 里花  装置:ユージン 原/石塚 克彦
     照明:田中 暢/武居 志左子/根本 明子/林 大輔
         主催:サミット      協賛:ハウス食品
  後援:総務省/消防庁/(財)日本消防協会/全国消防長会/(財)日本防火協会
 
分団長・川島勇造 :谷内 孝志      妻・真紗子     :美咲 歩(フリー) 
長男・秀一    :齋藤 勝洋      次男・健次     :庄野 久友 
末娘・真美    :牧野 友香      おじいちゃん・保  :小島 茂夫 
真紗子の妹・由紀 :小峰 めぐみ(フリー)東京から来た娘・皐 :水香 
消防団 部長・萬徳:小山田 錦司     萬徳の妻・澄子   :税田 幸子 
消防団 班長   :篠田 憲悟      酒店・五味     :古河 聰(フリー) 
肉屋・元木    :真壁 宗英      由紀の夫・哲夫   :板津 淳 
小口       :西田 慎       進         :市村 啓二 
ハヤ       :早川 真希夫     船橋        :渡辺 亮 
込山       :大野 一夫(フリー) 哲夫の息子     :森田 麻紗子 
結婚相談所・中村 :大塚 邦雄      橘 慶子      :坪川 晃子(フリー) 
近所の住人・大五郎:五城目 大五郎    大五郎の娘・宇姫  :瀬戸 雅美 
宣伝カーのトキ  :内山 美穂      タキばあちゃん   :北村 華那 
保健婦・亜紀   :西内 紫音      バイクの女性・アカネ:三橋 寛子 
転勤族の女性・富子:山下 牧子 
 
 <下座バンド> 
   ギター・トランペット・パーカッション:寺本 建雄 
   トロンボーン・パーカッション    :上條 千尋 
   キーボード             :椎木 智香
   ドラムス              :二宮 聡 
   キーボード・結婚相談所事務員    :近藤 好美 

    観劇日: 2005年6月20日(火)18:30〜 1階N列31番

なんか恒例(?)となってきた感がある劇団ふるさときゃらばん観劇の3作目。やはりここの
作品はテーマに特徴あって他のミュージカルとは趣が違っている。

今回は「地域における災害対策」がテーマのようであるが、今までと違ってちゃんと全編通し
てストーリーになっているのはいい。でも構成が変だよねー。同じ場面なのに今までの流れを
それて話題がヘンな方向に行くことが多い。おばあちゃんを助けた後、みんな戻ってきて踊り
だすのもどうかなー。地震だ、環境だと言葉では説明しているが、ストーリー中に動きとして
入ってきていないのも中途半端な感じがする。
ミュージカルとしても、歌やダンスが少なめでストレートプレイに近い。音楽は場と場の間に
無理矢理入れた感じでミュージカルっぽくだましているようだ。ストーリー上でも見所という
か観客を引きつけている川島家のシーンなどがただのセリフ劇になっていて残念。

あらすじ(イントロダクション)を聞く限りでは身近な話題でリアリティを追求したいい感じ
の物語。この身近なリアル感がこの劇団のウリなはず。なのに実際に見てみるとどうもうまく
いっていないのは、構成も含めリアル感を減らす要素があちこちに見られるからだと思う。
ダンスにしてもシリアスな内容の中に突然火の粉のダンサーが出てくると、そこだけファンタ
ジックになり変。火の粉の衣装も赤黄の火の粉の中に2人だけ赤黒がいて気になり、余計な
ところに意識が向いてしまっている。音楽に合わせて踊っただけだったので、歌があればもう
ちょっと違ったかもしれないが。
キャスト的にも年齢が合ってない人もちらほらいてリアリティが削がれている。勇造とおじい
ちゃんなど親子には見えない。そのおじいちゃんのキャラクターもはっきり言って物語の都合
のいいように作られた感じがアリアリで、普通に考えればこんな行動する人はいないだろう。
確かにウケはいいかもしれないが、せっかくのリアル感をマイナスしている。

どうせ身近なリアル感を失ってしまうなら、女性キャストが多いわりに女優陣の活躍が少ない
ので女性消防団の方をメインにしても良かったのでは?とも思う。訓練の困難さから事件事故
への対処を女性消防団メインに描くとか。劇中で女性ならではの火災予防について説明だけで
触れていたが、そういうエピソードを拡大して2幕のメインにしても面白いと思う。

キャラクターでも女性消防団の中心人物である皐が一番目立っており、場の雰囲気を壊すよう
なマイペースさが面白くて良い。これは演技じゃなく天然なのだろうか?演技でわざとやって
いるとしたら別の意味で凄い。保健婦はなんか衣装が合っていないと思ったが、ダンスはいち
ばんキレがあって目立っていた。
主役(?)である勇造は後半部分は良かったが、もっと前半から田舎(昔)のガンコ親父的な
キャラを前面に出した方が良かった。せっかくタイトルにもオヤジが入って恐いものの代名詞
になっているわけなのでもっとハイテンションな頑固オヤジぶりが見たかった。

キャラクター数が多いが、ストーリー進行中になんとか判別はできるので、そういう意味では
脚本的にはよく出来ている。今回はキャスト表(配役)が劇団ホームページに発表されていた
が、やはり会場でも配布か掲示して欲しい。登場人物の一覧だけでもあるともっと物語が理解
しやすくなる。

セリフはみんな慣れてないみたいだ。カツゼツ悪いし言い直しも多く声も通っていなかった。
マイクを付けてるようだがもっと音量あげてもいいかも。

タップ振付として劇団四季でタップが有名だった粟村勝が。タップが入ると確かに新鮮だが、
やはり構成的にこの作品では見せ所がない。見栄えがする振りの部分も粟村が出ていた四季の
クレイジー・フォー・ユーで見たもののような感じがした。

あとセリフが聞こえない分、バンドがうるさめ。特にトロンボーン。普通はオケピの下にある
楽器なのにステージ上から客席に向かって直接音を出すのはどうか。時々、ミュートを付けて
いたがずっとつけてもいいくらい。


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