マリー・アントワネット
帝国劇場
 
   脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ   音楽:シルヴェスター・リーヴァイ 
  翻訳:浦山 剛/迫 光   翻訳・訳詞:竜 真知子  音楽監督:甲斐 正人 
          原作:遠藤周作「王妃マリー・アントワネット」
  振付:前田 清実  アクション:渥美 博  歌唱指導:矢部 玲司/林 アキラ 
  装置:島 次郎  照明:勝柴 次朗  衣裳:有村 淳  ヘアー:坂井 一夫
          指揮:塩田 明弘   演出:栗山 民也
        プロデューサー:岡本 義次/小林 香/横田 優希  
    後援:読売新聞    協力:全日空   ウィッグ協力:アデランス
 
 マリー・アントワネット:涼風 真世  マルグリット・アルノー :笹本 玲奈
 アニエス・デュシャン :土居 裕子  アクセル・フェルセン  :今 拓哉 
 ルイ16世      :石川 禅   ボーマルシェ      :山路 和弘
 オルレアン公     :鈴木 綜馬  カリオストロ      :山口祐一郎

 ロベスピエール    :福井 貴一  ローズ・ベルタン    :春風ひとみ
 ラパン夫人      :北村 岳子  ランバル公爵夫人    :河合 篤子
 ベメール/エベール  :広田 勇二  ラ・フェルテ      :tekkan
 ギヨタン博士     :佐山 陽規  ロアン大司教/レオナール:林 アキラ
 ルイ・ジョセフ    :川綱治加来  ルイ・シャルル     :水谷 一弥
 マリー・テレーズ   :黒沢ともよ

アンサンブル:
 安部誠司、家塚敦子、池田紳一、石田佳名子、小原和彦、碓氷マキ、KANTARO、
 樺島麻美、小西のりゆき、史桜、齊藤裕加、鈴木結加里、島田邦人、高島みほ、
 杉山有大、鳥居ひとみ、砂川直人、中川菜緒子、武内耕、中村友里子、俵和也、
 Belle、照井裕隆、水谷祐紀、中山昇、やまぐちあきこ、松澤重雄、横沢健司   

           公演期間:2007年4月6日(金)〜5月30日(水) 
         料金:S席13,000円 A席8,000円 B席4,000円(税込)

  観劇日:2007年4月10日(火) 13時00分開演 2階G列28番(A席)

「エリザベート」「モーツアルト!」のコンビの新作が日本で世界初演というのが凄い。
でも新作で試行錯誤しているからかもしれないがやたら長い(一幕85分、二幕80分)
のが気になる。もう少しカットしてスマートにできるのではないだろうか。昨年11月の
初演は観ていないが今回の帝劇凱旋公演では更にカリオストロの新曲を追加したらしい
ので試行錯誤は逆行している? 
パターンとして1つの芝居(シーン)が終わった後に残った人物がその感情を歌うという
のが多く、その時はあまり動作が動かないので長く感じるのかもしれない。芝居と曲が
同時進行でパッパと進まないものかな。
ギロチンの刃をどうするかとゆっくりとした曲で延々と説明するのも長いなぁ。
ルイ16世のキャラクター(処刑はするが痛みがないようにしてあげたいというズレた
優しさ)を説明するのが目的だろうけどメロディが単調だと長く感じるだけなのでスパッ
とセリフで流してもいいんじゃないかな。普段歌える歌詞内容じゃないので曲が良ければ
いいってものじゃないし。

長いせいか総体的に曲が多くなってしまっており似たような曲調ばかりが続くとやはり
飽きる。とは言え作品に占めるいい曲度が高いのは健在で、美しいメロディの繰り返しは
効果的。一幕後半の「心の声」「神は愛して下さる」「すべてはあなたに」と続く、いい
の曲これでもか攻撃にはさすがにノックアウトだ。最初に近い「100万のキャンドル」も
超名曲だと思うが、こちらは床にゴロゴロして歌っているのでシーンの印象が良くない。

キャストで言うと笹本マルグリットは文句なしでハマリ役だろう。山路ボーマルシェや
鈴木オルレアン公もいい感じ。山路ボーマルシェを観ているとミス・サイゴンのエンジ
ニアを彷彿させるので十年前の市村正親がこの役をやったら似合いそうだとも思って
みたりする。鈴木オルレアン公のメイク(眉毛なしの隈取り?メイク)は今までの役柄
とはキャラクターが変わっていて見応えがあった。声もやはりいい。あとの常連メンバー
はいつもと同じような役柄だなー。山口カリオストロは歌はやはりピカ一なんだけど
コロレド大司教と思いっきりかぶる。

ストーリーは原作がどうだかわからないが、行動が不可解な登場人物が多い。
修道女として神の道に従うアニエスや歴史上の人物ルイ16世、アントワネットなどは
わかりやすいが、中心人物であるマルグリットの細かな行動は特に疑問。自分の目的が
途中で変わるにしても心境の変化を丁寧に描いて欲しい。そのあたりは言わずともわかる
だろう的な日本的発想なのだろうか。
カリオストロも一体何をしたかったのか? 全てカリオストロの手の中で動くとか、同じ
イニシャルだけど全く違う立場の2人が・・・とか、いかにもミュージカル作品らしい
発想を聞けばドキドキと期待感が高まるがもっともその設定を活かして欲しい。
MAの二人は姉妹なのか?そのあたりが匂わしたまま流されてしまってるのはどうかな。
父が歌っていたという大好きな歌がそのキーになっているのはいかにもミュージカル的で
いいのだが。このあたりを広げるなら、実は双子だったって設定にして、笹本・新妻で
アントワネットとマルグリットを日替わりキャスティングすれば絶対観てみたいが。

演目的にはフランスということもありレ・ミゼラブルとかぶる。民衆が革命に立ち上がる
くだりとかやはりレ・ミゼラブルを思い出してしまう。回転盆を多用するのも同様。
ドイツではロングラン公演が決まったそうなので海外で大ヒットして知名度を上げて日本
でも数年後に観れればいいが。


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