ファントム
青山劇場
      作詞:アーサー・コピット   作曲:モーリー・イェストン
       翻訳:伊藤美代子      上演台本・演出:鈴木勝秀

  音楽監督:前嶋康明    歌唱指導:長野佳代   演出助手:長町多寿子
美術:二村周作    照明:倉本泰史   衣裳:前田文子   ヘアメイク:鎌田直樹
 振付:夏貴陽子   殺陣:中村嘉夫   音響:山本浩一   舞台監督:瀧原寿子
   制作:杉本朋子  プロデューサー:村田裕子   企画制作:梅田芸術劇場
          主催:TBS、梅田芸術劇場、キョードー東京

ファントム(エリック) :大沢たかお  
クリスティーン・ダエー:徳永えり   フィリップ・シャンドン伯爵:ルカス・ペルマン
アラン・ショレー   :HISATO ルドゥ警部        :中村まこと
ジャン・クロード   :永島  克   文化大臣         :コング桑田
カルロッタ      :大西ユカリ  ゲラール・キャリエール  :伊藤ヨタロウ
ベラドーヴァ(映像出演):姿月あさと

 アンサンブル:阿部よしつぐ、角川裕明、金澤 博、田風I人、田村雄一、中井智彦、 
        荒木里佳、稲田みづ紀、浦壁多恵、杵鞭麻衣、金城尚美、山本悠記子

         東京公演:2008年2月7日(木)〜2月22日(金) 18公演   
          料金:S席12,500円 A席9,000円  立見7000円

   観劇日:2008年2月13日(水) 14時00分開演 2階16番(立見)

あの宝塚でヒットしたこの作品が東宝(帝劇)じゃなくて、こういう形でやるとは、、、。
しかも大沢たかお主演って。他の主要キャストも演出家も他のミュージカルではあまり観た
ことない人々だ。

冒頭の「僕の叫びを聞いてくれ」のカットは残念。大沢たかおがいきなり荘厳に歌いだして
ダンスするのを期待していたんだが。いくら宝塚版のためのオリジナル曲だと言っても制作
の梅田芸術劇場は阪急グループで宝塚に近い会社なんだから使用に問題はないはず。演出家
の好み?それともやはり大沢たかおだから?

その大沢ファントム。そのカリスマ性でファントムの人間性をバッチリ演じていた。歌の方
も本職の歌手でもなくミュージカル俳優でもないにしてはいいんじゃないでしょうか。歌の
部分だけマイク音量が他のキャストより大きめだった気がしたのでトリックでカバーしてた
のかも。逆に普通の台詞部分の声が小さく聞こえた。
徳永クリスティーンは日本的な少女だなぁ。おじぎの仕方とか特に。歌は丁寧に歌っている
がゆっくりめのアレンジに助けられてる感じ。早いメロディも余裕で歌っていた花總まりと
比べちゃうとどうも分が悪い。
そして、ウィーン版「エリザベート」でも有名なルカス・ペルマン。これは仰天キャスト。
ちゃんと日本語で演じているのはいいけど、たどたどしい言葉はウける。笑っちゃいけない
けどさ。まぁ、ビジュアル的にヨーロッパな雰囲気にひたれるだけでもいいかも。肝心の歌
は1曲のみでしかも途中からクリスティーンとのデュエット。フィリップの持ち歌って2幕
にもあったはず。宝塚版オリジナル曲だったらしいけど。日本語で歌うのつらいなら英語や
ドイツ語でもいいから歌って欲しかったなー。
大西カルロッタは意地悪で自己中心的なキャラをうまく演じていたし、歌もキャスト中でも
いちばんミュージカルに近い。
映像出演で特別出演的な姿月ベラドーヴァも話題だったが、モノクロ映像&影絵では誰だか
わからなくて残念。

演出は最後にキレイな素顔が出てくるってのは、ロイド・ウェーバー版も含め「オペラ座の
怪人」を観続けてきた者にとってはビックリでいいと思った。これも大沢効果?
クリスティーンが銃で応戦っていうのもビックリっていえばビックリ。そんなキャラだった
のかなー?それと宙吊りはいらないなー。他もクライマックスは宝塚版とは違う部分が多い。
あの大感動の父子デュエット「You Are My Own(お前は私のもの)」のシーンもあっさりと
流れてしまったのも残念。同曲はその前にベラドーヴァが母親として歌う曲になっちゃった
りしてるのでいい曲だと思われてるのだと思うが。。。
あと気になったのはどのキャストも歌う時に舞台上をあちこち動きすぎ。せめて聴かせ所は
一ヵ所でスポット浴びて力いっぱい熱唱、というのもあってもいいけど。

衣装はみんなバリエーションがない。予算の都合かな?必須イメージ(?)のファントムの
燕尾服姿とかもないし。有名な「赤い死」の衣装とかも。

総じて演劇としてはいいと思う。だから歌の少ない2幕は安心して観れた。いっそミュージ
カルにしないでストレートプレイで人間ファントムのドラマを目指した方が良かったかも。
チラシ、PRポスターも大沢たかおを前面に押し出したプロダクションなので、大沢たかお
に合う作品という意味では成功作だと思うが、ロゴも変えちゃったりして過去作を払拭する
新しい作品にしようとしてるのはあまりよくないと思う。
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