レベッカ
シアタークリエ
             原作:ダフネ・デュ・モーリア
 脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ    音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
 翻訳・訳詞:竜 真知子    翻訳:長谷川真実     翻訳協力:迫 光
 演出:山田和也     音楽監督:甲斐正人   ステージング:田井中智子
    美術:伊藤保恵    照明:成瀬一裕    衣裳:小峰リリー
           ヘアメイク:川端恵理子(スタジオAD) 
 歌唱指導:山口正義、ちあきしん    音響:本間俊哉   指揮:西野 淳
    オーケストラ:(株)ダット・ミュージック、東宝ミュージック(株) 
     プロデューサー:横田優希   スーパーバイザー:岡本義次

 マキシム・ド・ウィンター:山口祐一郎   「わたし」:大塚ちひろ
 ダンヴァース夫人:シルビア・グラブ    フランク・クロウリー:石川 禅
 ジャック・ファヴェル:吉野圭吾      ベン:治田 敦
 ジュリアン大佐:阿部 裕         ジャイルズ:KENTARO
 ベアトリス:伊東弘美           ヴァン・ホッパー夫人:寿ひずる 

   松澤重雄、武内耕、斉藤裕加、俵和也、名児那洋、田中秀哉、
   河合篤子、鈴木結加里、水谷祐紀、碓氷マキ、中村友里子、石田佳名子

  公演期間:2008年4月6日(日)〜6月30日(月)  料金:12,500円(全席指定・税込)

    観劇日:2008年4月10日(木) 13時30分開演 14列2番

身寄りのない女性が貴族の玉の輿に、ってよくある話。シンデレラっぽいというか、夢が
あっていい。こういうパターンなら他のミュージカルではしっかりとしたレディーにする
ためコーチ役などが出てきて、、、なんて話になるがこの作品はだいぶ違う。死んだ前妻
のプレッシャー(影)という見えざる敵がいるのだ。なかなかいい題材。
前妻の死に不審な点があり犯人はもしかして夫?とか、もしかして生きてる?などと思わ
せる展開で想像するのが楽しい(?)ストーリー。こんな推理ミステリーなミュージカル
は珍しくて新鮮だ。タイトルロールで話の中心でもあるレベッカが登場しないのも新鮮。
1幕ラストの仮面舞踏会のドレスは話が出た時から展開が読めるが、逆にどんな反応なの
か期待してしまう。召使い(クラリス)が新人でレベッカを知らないというのも、うまく
つじつまがあっている。脚本うまいなー。
でも2幕後半の電話1本で話が片付いちゃうあたりはもっとわかりにくいのでもっと丁寧
に描いて欲しかった。

曲はやはりタイトル曲。4回も繰り返されるしメロディーは一度聞いたら忘れられない。
印象的な部分に使われているし、超絶唱曲なので2、3回目はもっと迫力が欲しいところ。
1曲ぐらいは亡き妻を思うとかで山口マキシムに超絶叫で歌って欲しかったなー。
他の曲はあまり印象がない。エリザベート、モーツアルト、マリー・アントワネットなど
1つの作品における「いい曲率」がすごかっただけに、上記1曲のみしか印象に残らない
のは残念。

山口マキシムは冒頭の一連の速攻ナンパ?はもう最高。普通の人間役を久しぶりにやって
生き生きしてる感じ。でも後半はちょっとエキセントリックになっており非人間的な感じ
が出てしまい、死神、吸血鬼、世界を操る錬金術師などを連想してしまう。ところで歌い
ながら指揮するようなしぐさ、いつから癖になっちゃったのか。それとマキシムは最初、
「家族がいない」とか言ってたが姉がいるのは変ではないのかな。
石川フランクは1曲しか持ち歌ないし、カーテンコールも早い登場だしもったいない感じ
だが、やはりこの人がやっていると安心する。
ヒロインの大塚「あたし」もなかなかいい。これは当たり役になるのでは?前半の無邪気
に恋愛を楽しんだり悩んだりする若い女はとても似合っている。後半の自立した芯の強い
女はそれほど似合うとは思わないが、きっと女はああいう状況だったら外見は伴わずとも
内面から無理にでも強くなるんだろうな。物語としてはその後、さらにタカビーになって
レベッカのように「冷たい顔でマキシムをあしらうようなにった」とか、マキシムは実は
強い女は嫌いでまた殺されちゃうとかいう展開も期待したんだけど。それにしても役名が
「あたし」っておもしろい。
シルビア・グラブのダンヴァース夫人は上記タイトル曲の印象が強烈な他にも敵か味方か
正体不明な役を好演。衣装がマダム・ジリーそっくりな感じがどうかと思うが・・・。
吉野ジャックはいつも似たような曲が持ち歌。役柄的には途中で殺されるとか、逆に罪を
きせられて逮捕されるとかとも思ったが、結局どうなったんだろうね。あれでおとなしく
引き下がったとも思えないけど。
治田ベンも登場シーンは少ないものの、なかなかインパクトある活躍だった。

セットは火事のシーンは炎がもっと迫力出れば良かったな。クライマックスなんだから。
きっと無理なんだろうけど。

新劇場はさすがにきれい。地下2階にあるんだね。狭いスペースに無理矢理つくったのが
よくわかる。ロビーが狭いので食べ物、飲み物は客席でOKとか。2階席もないし。
全部で611席と小さめで全席S席の同一料金。高級指向だなー。というかセレブな女性
向けなのだろうか。ロビー脇がすぐ日比谷シャンテに直結してるから帰りはみんなこちら
に流れるだろうし。
10人くらいの編成らしいオケは右手上部にいたようだ。これも少スペース対応なのかな。
生オケはいいけどね。
他のミュージカルとは一風変わっているし、また観たい演目ではある。でも何回も観ると
したらB席がある帝劇とか日生で再演をお願いしたい。そもそもここの劇場の料金で何度
も通うリピーターっているのか? それこそ貴族じゃないとムリ。

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