この森で、天使はバスを降りた THE SPITFIRE GRILL
シアタークリエ
  音楽・脚本:ジェイムズ・ヴァルク   歌詞・脚本・作:フレッド・アレイ 
           原作:リー・デイヴィット・ズロートフ
    訳詞:竜真知子   振付:神崎由布子  演出・修辞:藤井清美
美術:中根聡子  照明:笠原俊幸   衣裳:黒須はな子  ヘアメイク:河村陽子
音響:大坪正仁  音楽監督:八幡茂  歌唱指導:小林仁  舞台監督:山本圭太 
      演出助手:西祐子   プロデューサー:小嶋麻倫子    製作:東宝 

  パーシー:大塚ちひろ    ハンナ:剣 幸   シェルビー:土居裕子
ジョー:藤岡正明  ケイレブ:宮川 浩   訪問者:草野 徹  エフィ:田中利花

 公演期間:2009年5月5日(火)〜 5月31日(日) 料金:S席11,000円/A席8,500円

 観劇日:2009年5月6日(水) 12:00開演  1階16列15番(A席)

重いテーマなのか軽いのかよくわからないわからない仕上がりの作品。殺人の理由もあり
がちな話でもうひとひねり欲しい。話の核となる作文コンクールは、ラストがいくらお金
返すって言ってもそれでめでたしめでたしってわけにはならないだろう。作文を書いた側
からするとダマされた感じで怒るだろうし。街起こしをしたい自治体が参考にしないこと
を願いたい。そもそもパーシーは店を受け取るつもりがあったのか。自らコンテスト提案
したり、あれだけ自分は自由な鳥とか言っていたのに。
恋愛ドラマとしてもお互いどこが好きなのかよくわからない。単にヒロインと同じ年頃の
登場人物が1人しかいないということで納得するしかない。イーレイ(訪問者)ともいい
雰囲気になっていたので、イーレイが社会復帰するまで話が続いたら三角関係もありかも
なんだろうけど、役者的には若く見えるけど設定的にはケイレブより年上なんだよね。

原作映画がどうだかわからないが、舞台としては1幕でもいい内容になってしまってるの
で、もっと1年間の出来事を細かくして丁寧に描くといいかも。ヒロインの衣装にしても
季節ごと変わっているが、その季節はずっと同じ服装ってのも大雑把すぎるし。

大塚パーシーは今までお嬢様キャラしか観たことなく少し新鮮だったが、無理している感
があって似合ってないなー。さすがにこの若くして波乱万丈の過去を抱えたキャラは誰が
演じるにしても難しいと思うのでキャスティングが難しいだろうなぁ。
藤岡ジョーもなんだからわからないキャラで大変だ。田舎を出たいけど親が土地持ってる
から結局残ることにしたって、いちいち説明がなければわからない。
宮川ケイレブも役割があまりよくわからない役で妻にとっての悪役(?)でしかなく印象
が薄い。見せ所の歌も持ち歌が演歌調なのはかわいそうだ。
土居シェルビーも演技力で健闘はしているがヒロインとのバランスが悪いようだ。外見は
どうみてもお姉さんなのに、キャラ的にはヒロインに対して受け身なのが難かしい。
剣ハンナはどっしり押さえた感じで演じておりまとめ役としてはうまい配役。でもこの役
はイメージ的に草笛光子で観てみたい。
草野イーレイは歌どころかセリフすらないのはいかがなものか。もっと登場場面が多くて
話をかき回すような役回りなら面白みが増すだろうに。ミュージカルにはやっぱこういう
正体不明の非人間的なキャラが1人は必要だよね。

曲は冒頭、アカペラでいい雰囲気なのだが、あとはありきたりの曲ばかり。セリフが歌で
進行していくスタイルで曲が多いのは好みだけど、キャストが7人(歌うのは6人)のみ
なので同じ人ばかり歌っている形になり飽きてくる。曲にもっとバラエティがあれば違う
かもしれないが。楽器のせいなのかもしれないが、伴奏もなぜかアイリッシュ調ばかり。

タイトルにも「森」があるし、「森」が作品のキーとなっていると思うが、セットに森を
イメージできるものがない。描き割り背景だけでもあったら良かったのに。

物語に合わせて、実際に作文(観劇の感想文)を募集し千秋楽後にセット(小道具?)を
1名にプレゼントするという企画もやっていた。面白いけど、これも物語の内容に同じく
最終的には内輪(主催者)が当選だったりして。

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