Avenue Q

                             JOHN GOLDEN THEATRE (NEWYORK)



                 29.JAN.2005  14:00〜  BB112  ORCH   $21.25(Rush)

      Princeton, Rod                               JOHN TARTAGLIA
      Brian                                        JORDAN GELBER
      Kate Monster, Lucy & Others                  STEPHANIE D'ABRUZZO
      Nicky, Trekkie Monster, Bear & Others        RICK LYON
      Christmas Eve                                ANN HARADA
      Gary Coleman                                 CARMEN RUBY FLOYD
      Mrs.T., Bear & Others                        JENNIFER BARNHART

 昨年のトニー賞受賞作ということで話題になっていたが、今回初めて観た。人形劇(?)と聞いて
 いたので歌はあっても踊りはないだろう、ミュージカルっぽくないなー、と敬遠していたのである。
 とりあえず今回は開演2時間前にやっているという当日抽選席(いわゆるRentでいうところの
 ブレークスルーシート)に挑戦。12席(だいたいの人が2枚買うので実質当選数6、7前後)と
 いう難関に見事当選したのである。超ラッキー!今年の運を使い果たしたかも。
 
 席はオケピもなしの最前列なので目の前がすぐステージ。上向きに見るので首が疲れるとの話も
 あるが、私は特に気にならなかった。舞台構成上、ステージ両脇のモニターにいろいろアニメとか
 が映し出されるが確かにそれは見づらい。また、途中で舞台の床にスモークが出て来たりするの
 だがモロ浴びるのでむせる。(短い時間なので息を止めてれば大丈夫。)

 で、感想の一番はやはり人形だろう。LionKingにも操り人形は出てくるが、主役として、しかも
 複数のキャラクターの共存ということで、かなり独自性を出している。俳優はいくつもの人形
 キャラを兼務していたり、1つの人形を2人で操ったりもする。兼務する人形が舞台上で共演して
 しまうことがあるが、その場合は片方の操作を別の俳優に任せて、声だけ2人分を1人でしゃべる
 などの手法も使っている。Kate MonsterとLucyは同じ人がやっているが、二人が出会うシーンは
 STEPHANIE D'ABRUZZOが1人で声色を変えて一人会話しているのである。このSTEPHANIE D'ABRUZZO
 演じるKate Monsterの声が人形に良く合っていて、ドラえもんには大山のぶ代(今春代わるらしい
 が)というように、この人形キャラにはこの声しか考えられない、といった感じがある。いわゆる
 アニメ声ほどではないが、Kate Monsterの人形から出る声はきっとこんな感じだろう、と思える
 非人間的声なのである。
 男の主役JOHN TARTAGLIAも凄い。PrincetonとRodの2役やっているわけであるが、人形は違う形を
 しているものの、何故か同じ人がやっているとは思えないような感じに見える。逆に俳優の表情が
 演じる方の人形にそっくりになっていて、メイクしたり、衣装変えたりしてるわけではないのに
 そっくりなのはオドロキである。こんな感想は表情が良く見える最前列席のおかげか。
 このJOHN TARTAGLIAはトニー賞にもノミネートされたオリジナルキャストなのだが、なんと1月
 いっぱいで降板予定とのこと。オリジナルキャストとして製作段階から5年間もこの役をやって
 きた(作ってきた)そうなので、本当に集大成という感じ。完璧である。いいタイミングで素晴ら
 しい演技を観れたというのもラッキーであった。
 たくさんのその他役をやっているRICK LYONの声の使い分けが良い。小さなものから大きなもの
 まで自由自在にキャラクターを使い分けている。この作品の人形をデザイン、製作したのもこの
 人とのこと。本業はミュージカル俳優というわけではないらしい。しかし、歌もちゃんと歌ってる
 し、演じてるしすごいな〜、この人も。

 他にもこの作品には人形じゃない、人間役の俳優も3人もいる。いわゆる人形キャラと同じ建物に
 住んでいるという人間役なので、1つの役を等身大に演じていていながら、人形相手に演技すると
 いうのが大変だろう。その中でChristmas Eveというキャラクターは、日本人という設定になって
 るらしく、途中で結婚シーンもあるわけだが、ドレスは下は普通の白いウェディングドレスなもの
 の上半身は赤っぽい着物の帯締めに、頭には箸がかんざし(?)として刺さっているヘンな格好。
 舞台には、ぼんぼり(?)がつるされ、参列者はユダヤ人が頭につけるような小さな帽子(ヤマカ)
 を着けているが、それが日の丸という、結構よくわからないシチュエーションになっている。

 ストーリーは私もそうだが、セサミストリートのような人形劇を想像すると、子供も連れて家族
 みんなで行きましょう、的な話だと思っていたのだが、それが全くちがーう。18禁もいいところ
 のすごい話なのである。単純に言うと、大学出たばかりのPrincetonがNYに来て安アパートの
 住人達と関わり合いながら自分の道を探していく、という青春ものと聞こえはいいが、なかなか
 どうして扱うテーマはかなりきわどい。Christmas Eveが日本人だったり、管理人のGaryが黒人だ
 ったり、Kateがモンスターなのが関係するのだと思うが人種差別をテーマにした曲もある。他にも
 Brianが無職とかLucyが売春婦とかRodがゲイ(かも?)とかいろいろ非日常的キャラクターが
 多彩でブラックな話題にはこと欠かない。下ネタも満載で歌の中には連呼してたりする。こういう
 内容がそれなりに観客に受け入れられるのもやはりかわいらしい人形たちが出演者に交じっている
 からに他ならない。人形だから普通の俳優が生身でできないようなシーンも平気でできるから、
 かなりこの人形の登場人物がいるということが、うまい方向に働いていると思う。
 ダンスシーンはないものの、確かにトニー賞取るだけのことはあると思った。
 観客の反応もいいようで、ラストのカーテンコールではスタンディング・オベーション。ただし、
 カーテンコール時には、人形を操っている俳優は、人形を持って来ないで俳優として出てくるので
 ちょっと寂しい。全部は持てないだろうから、重要な登場人物であるPrincetonとかKate Monster
 とかは持って出て来て欲しいな〜。
 
 トニー賞のベストスコア賞も受賞したという音楽はメロディが印象に残らなくて残念。というか
 人形や俳優陣の人形遣いテクニック、表情など見るところが多くてメロディを堪能する余裕がなか
 ったのかも。歌詞は先にも書いたが、言葉を連呼しているような単純明解なスタイルで人形劇とか
 のまさに童謡的な作詞法なのだろうが、内容は放送禁止用語っぽいものらしく、子供には教えられ
 ないだろう。そういう意味だからか、PLAYBILLに曲目表も載っていない。これには結構まいった。
 まぁ、別に歌を知って覚えたい(歌いたい)というわけでもないが。道を歩きながら口ずさんで
 たりしたら多分恥ずかしいだろう。
top