THE WOMAN IN WHITE

                          MARQUIS THEATRE (NEWYORK)

              8.DEC.2005  20:00〜  Y9  ORCH   $72.75(65%+$3.00)

    Maria Halcome    MARIA FRIEDMAN      Count Fosco          MICHAEL BALL
    Anne Catherick   ANGELA CHRISTIAN    Walter Hartright     ADAM BRAZIER
    Laura Fairlie    JILL PAICE          Sir Percival Glyde     RON BOHMER
    Mr. Fairlie      WALTER CHARLES      Mr. Fairlie's Servant  JOHN DEWAR
    Signalman        NORMAN LARGE        A Con Man      RICHARD TODD ADAMS
    A Village Girl   JUSTICE BOLDING     The Warden            PATTY GOBLE
 
ANDREW LLOYD WEBBERの新作ということで話題の作品。しかしTKTSには35%OFFで出ている。
やはりミュージカルファンにとっては飽き飽き感があるのだろうか。確かに曲はいいメロディ
で全編が曲なのもいい感じ。でも始まってすぐ、「あ、ANDREW LLOYD WEBBERだ。」と思わず
笑みがこぼれてしまうくらいどこかで聴いたような曲調。Sunset Boulvard,The Phantom of 
the Opera,The Beautiful Gameなどの連想曲が頭をかけめぐる〜。

曲は新鮮味がなくてもストーリーは・・・・と期待したが、難解であまり楽しめるストーリー
ではなくて残念。Wilkie Collinsの同名小説を元にしているとかで欧米では有名な話らしい
から原作知ってることは前提なのか。ストーリー上の主役が誰か不明というのもイマイチ消化
不良の原因の一つ。タイトルになっている白いドレスの女はAnne Catherickのことで幽霊の
ように神出鬼没な謎の女なのだがPhantomのように目立つ存在ではない。タイトルロールとして
はAnneと瓜二つの令嬢で白いドレスも時々着ているLauraの方が実在感が濃く観客には近い。
その二人の女に振り回される男Walterが開幕後すぐに登場するのでこの男を軸にその視点で
描いていくパターン?とも思われたがWalterは途中でロンドンに行ってしまい中盤はほとんど
姿を見せない。で、登場シーン数や歌的にはLauraの姉役のMARIA FRIEDMANが多く、途中の
所々で登場するだけのMICHAEL BALLがその扮装や小ネタで笑いをさらっていくのである。
まとまりがないなー。

というわけで、やはり装置や特殊効果などで目を引くしかない、ということでそうなったかは
わからないが、見どころはやはり話題になっているセットの特殊映像である。1幕序盤の森の
散歩シーンがやたら長く、まずは映像をじっくり楽しんでね、という意味になってるのかとも
思えた。背景が全て映像なのだが、ちゃんと遠近感が出るよう斜めになってたりして寸法が
しっかり計算された3D映像なのですごいと思う。屋敷の空撮などもあってダイナミックで、
舞台に映画の長所も盛り込んだ感じがいい。ただ、屋敷内も含め全てがそうじゃ飽きる感じ
もする。巨大なセットが降りてくるとか、セリ上がってくるのも舞台の醍醐味であるので、
いくら装置いらずで効果大だとしても他の作品はマネしないように願いたい。それにやはり
映像を見るには照明が明る過ぎるようにも感じた。暗くすれば俳優が見にくくなってしまう
ので限界まで落としたのだとは思うけど。
もう一つ、隠し技として使っているのが動物芸。生きた小鳥やネズミを登場させ、歌うCount
 Foscoの小ネタになっている。ネズミが腕の先から背中を通ってもう一方の腕の先へ渡ると
いう芸はPR映像で見所としてすでに公開してあるので、みんながいつやるのか気になって
いる所を歌の最後の最後までもったいぶらせるような演出になっているようだ。
というわけでスタッフ欄にも普通のミュージカルではお目にかかれない、3D Animations,
IllusionistやAnimal Trainerなどがクレジットされている。

キャストについてはやはりMARIA FRIEDMANとMICHAEL BALLの扱いにポイントが置かれている
ようで、ストーリー的にはあまり意味をなさなくても舞台にいてソロナンバーがあったりして
いる。笑いを取っているのもこの二人である。
Count FoscoはロンドンのオリジナルがMICHAEL CRAWFORDだったのだから扱いが大きくなる
のも無理はない。キャラクター的にも話題性は充分な作りで、なんでこんな特殊メイクで
デブにしなくてはならないのか。今、ロンドンで同役をやっているSIMON CALLOW(映画版
オペラ座の怪人のアンドレ)はデブじゃないみたいなので統一はされてないようであるが。
MARIA FRIEDMANはロンドンのThe Witches of Eastwickで観て以来なのでまさかBWでまた
観ることになるとは思っていなかった。開幕直前に乳ガンの手術を受けたそうであるが、
そんな事は全く感じさせず、観ている方が心配してしまう。
RON BOHMERはThe Scarlet Pimpernelで観て以来。今回は悪役であるがPercyを彷彿させる
伸びの良い声と貫祿であった。            

総じて目を見張るのはやはり映像と動物、2人のキャストくらいか。それでも、葬式と
結婚式が盛り込んであるのがThe Beautiful Gameっぽいとか、映像のラストがStarlight 
Expressを連想させるとか何だかんだいって旧作と関連付けされてしまう要素の方が多くて
斬新さとしてはまだ弱い。空席も若干あるし、ホリデーシーズンが過ぎたら、あるいは2人
が降りたらちょっと厳しいと思える。今までの作品と同様にCD販売で曲を先に浸透させよう
という方針を貫いているのかCD屋さんでは2枚組のロンドンキャスト盤が他作品の1枚組
の値段で売っている。この戦略ももう古いかも知れない。似たような曲ばかりだと、曲だけ
聴いて「もう、いいや」と思われていないかと心配である。

ANDREW LLOYD WEBBER作品ということやハイテク技術使用ということで日本でもそのうちやる
かもしれない。原作小説の翻訳本の邦題は「白衣の女」だそうだが、だからといって日本で
上演される時は別のタイトル付けて欲しい。看護婦ミュージカルじゃないんだから。
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