ＩＮ　ＭＹ　ＬＩＦＥ


                        　MUSIC BOX THEATRE (NEWYORK)

            　 10.DEC.2005  14:00〜 　AA109  ORCHC   $26.25(Rush)

　    Jenny     JESSICA BOEVERS          J.T.       CHRISTOPHER J. HANKE
  　  Winston   DAVID TURNER             Al         MICHAEL J. FARINA
   　 Liz       ROBERTA GUMBEL           Samantha   LAURA JORDAN
　    Nick      MICHAEL HALLING          Vera       CHIARA NAVARRA

開演２時間前を過ぎてから買ったRushチケットは舞台の真ん前。オケピもないのでほんとに
目の前だ。「You Light Up My Life」という有名な曲を作ったJoseph Brooksが作詞、作曲、
脚本、演出まで手掛けミュージカルに進出と話題だったが、開幕してみたらとんでもない駄作
（Flop）で人気がないと噂になっている作品である。

確かに有名な音楽家の作った曲は出だしからいい感じで始まり、その後もいい曲が続く。
歌謡曲のような曲からロック調、アリア調、クラシック、タンゴなどバラエティにも富んで
いる。重唱や絶唱曲もある。歌詞も韻を踏んでおもしろおかしく作っているナンバーもある。
ラストの曲（タイトルナンバー）はそのまま披露宴とかのＢＧＭとかにも使えそうな曲である。

ストーリーはよくある笑いも交えたボーイミーツガールものになっている。ただし、主人公の
Jennyを物事にこだわり過ぎるという強迫神経症、J.T.を突然奇声を発するというトゥーレット
症候群＆潔癖症キャラにして、元気バリバリの健康的な若者たちというわけではないのが異色
ではある。また、この２人にSamanthaを入れた３人以外の登場人物はこの世のものではないと
いう所も変わっている。つまり、既に死んで天国にいる人物と天使、神様といったたぐいの
人物が脇を固めているのである。中でもWinstonは、中性的なメイクも含めCabaretのMCを
彷彿させるいわゆる狂言回し的なキャラクターで、天国と地上を結ぶ役割なのかフライングで
登場したりして結構おいしい役である。このWinstonがオペラとして地上界の出来事を創作して
いる、というのが根底にあって、現にオペラ風の劇中劇があったり、オペラといえばラストは
悲劇だろう、ハッピーエンドだろうでもめたりもする。
もう一人登場人物の中で目立っているのは子役であるVera（J.T.の妹）役のCHIARA NAVARRA。
リードボーカル的に中心で歌うし、バレエもやっちゃうなど主役に近い。そのVeraを自動車
事故で天国に送ってしまったイケメン青年Nick役のMICHAEL HALLINGはTHE BOY FROM OZにも
出ており、実際に演じる機会はあったかどうかはわからないがHUGH JACKMANのアンダーでも
あったそうで確かにそんな雰囲気はある。

CabaretのMC風キャラもそうだが、劇中劇オペラがイル・ムート風だったり、ラストについて
観客に尋ねるピーターパン風な展開があったりなんか別のミュージカルをもじってる感もある。
そういえばタイトルのIN MY LIFEもレ・ミゼラブルの中の曲名そのものだ。

装置は結構、巨大装置を使っている。天国の場面になると度々出てくる巨大なロッカー群も
迫力あるし、映像なども使いよく練られた感じである。

休憩なしの１幕ものということで一気に軽く見てください的な感じなのかも知れないが、
説明不足でさらっと流れて過ぎてしまった感もある。多分製作段階で脚本には重点が置かれ
なかったのかもしれない。目の付けどころはいいと思うのでもっと脚本をふくらませて、
やはり２幕ものでしっかりと見せて欲しい。そうしたらもっと人気が出たのかもしれない。

ちなみに後で知ったが、私が鑑賞した次の日の公演を最後に打ち切られたようである。曲は
良かったのに残念。サントラぐらいは・・・。出ないだろうなぁ〜。