SWEENEY TODD

                      EUGENE O'NEILL THEATRE (NEWYORK)



                 10.DEC.2005  20:00〜  SR114  STAND   $26.25

    Mrs.Lovett       PATTI LUPONE           Tuba,Orchestra Bells,Percussion
    Sweeney Todd     MICHAEL CERVERIS       Guitar,Orchestra Bells,Percussion
    Judge Turpin     MARK JACOBY            Trumpet,Orchestra Bells,Percussion
    Pirelli          DONNA LYNNE CHAMPLIN   Accordion,Keyboard,Flute
    Tobias           MANOEL FELCIANO        Violin,Clarinet,Keyboard
    The Beadle       ALEXANDER GEMIGNANI    Keyboard,Trumpet
    Jonas Fogg       JOHN ARBO              Bass
    Beggar Woman     DIANA DIMARZIO         Clarinet
    Anthony          BENJAMIN MAGNUSON      Cello,Keyboard
    Johanna          LAUREN MOLINA          Cello
 
 STEPHEN SONDHEIM作詞作曲の人気作品で何度もリバイバル上演されているというが、初見で
 ある。MICHAEL CERVERIS,PATTI LUPONE,MARK JACOBYなど有名どころの俳優も揃えチケット
 の売れ行きもいいようで、当日発売の立見を朝10時に劇場に行って買った。

 演出はJOHN DOYLE。主にイギリスで活躍してきて今回がBWデビューとのことだが、この斬新
 な演出ならBWにお呼びがかかったのも納得である。今までいろんな所で上演されてきた作品
 だからこそ、斬新なアイディアがさらに引き立つのだろう。
 舞台に立つ役者は上記の10人のみである。キャスト表を見ればわかる通り、各役者には役名
 の他に楽器の名前が併記されている。つまり、オケ兼任なのだ。舞台上で自分たちで演奏し
 ながら演技したり歌ったりする。これだけで充分斬新だ。確かに近年リバイバル版のCABARET
 などではアンサンブルがオケ兼務してたりもしたが、メインキャスト含め全員が演奏する、
 というのは仰天だろう。しかも10人という小編成である。あのPATTI LUPONEが真っ赤な口紅
 つけたままTubaを吹いたり、Phantom役でも有名なMARK JACOBYがTrumpet吹いたりする姿を
 拝めるだけでもすごいことである。作品のテーマ自体が猟奇殺人というホラー要素を持って
 いるが、俳優が伴奏を兼ねているということも恐い。
 Judge TurpinとThe Beadleのデュエットするオジさん同士がともにTrumpetだったり、恋人
 同士(AnthonyとJohanna)がともにCello同士だったり、パート割りもうまい具合に決められ
 ている。演技や歌で演奏できない時は別の人がさりげなく交替したりして10人がうまく動い
 ている。そのため俳優陣は冒頭からラストまで舞台からはけるこははなく脇に座っていたり
 演奏してたりする。さらに小道具の準備片づけなどもやっているので大変だ。

 Sweeney Toddが殺人を繰り返していくストーリーなので、3人以外はラストまでには死んで
 しまう。1幕は1人のみだが2幕からスピードアップ状態だ。殺しのシーンは床屋である
 Toddがヒゲ剃り時に客のノドを剃刀で掻き切るというものだが、基本的にバケツに入った
 赤い液体を別のバケツに移し変えるというのが「死」を意味しているようだ。あとは死んだ
 役の役者は血の着いた白衣を着て「お前は死んでいる状態」で演奏者や黒子として活動する。
 そのうちに周りの誰かが白衣やバケツを準備しだすと「あ、殺される」とわかるようになる。
 TITANICの時もスキンヘッドだったMICHAEL CERVERISだが、この頭でのTodd役はかなり恐怖
 感が増し迫力があり適役だ。

 曲は冒頭とラストのタイトルナンバーとも言える曲が印象に残る。このメロディは一度聞いた
 ら耳から離れないだろう。何度か単体で聞いた事のある曲「Pretty Women」がこのミュージ
 カルの曲だったとは知らなかった。しかも殺人のテーマだったのか〜。
 舞台は両側を使わず中央部に敷いた板間の上のみ使っている。床屋の一室が話のメインなので
 もともと広いスペースは必要ないのか。セットはもちろん動くようなことはない。中央に棺桶
 が1つあって死を身近に見せる効果はもちろんのこと、テーブルになったり踏み台になったり
 効果的に使われている。あと使われているのは白い布ぐらいか。それだけでいろいろ表現して
 いる。衣装替えなんてのもほとんどない。ダンスももちろんなし。
 カーテンコールは俳優がオケ兼務のため、演奏なしで礼をしただけで終わった。これは、
 ちょっと寂しい。録音でもいいから曲流してもよかったかも。

 結構斬新さがウけていると思われるが、これだけシンプルかつ大胆に制作された舞台が話題
 にならないわけはない。隣で立見していた紳士も幕間に「Sweeney Toddは何度も見ているが
 こんなスゴイのは初めてだ。」と興奮気味に私に話しかけてきたほどだ。キャストは大変だと
 思うができる限り長く続いて欲しいと思う。
top