The 25th Annual Putnam County Spelling Bee

                           CIRCLE IN THE SQUARE (NEWYORK)



                      26.MAR.2006  15:00〜  B7  BNCH-B   $25.00(Rush)

   Rona Lisa Peretti    LISA HOWARD          Douglas Panch     GREG STUHR
   Mitch Mahoney        WILLIS WHITE
   William Barfee       JOSH GAD             Olive Ostrovsky   LISA YUEN
   Marcy Park           DEBORAH S.CRAIG      Leaf Coneybear    JESSE TYLER FERGUSON   
   Chip Tolentino       JOSE LLANA
   Logainne Schwartzandgrubenierre       SARAH STILES 


 やたら長い題名でメディア等は大変だろうが、ブロードウェイ演目リストでは結構目立つ。しかも、
 頭が数字なのでアルファベット順ではAより上の一番にリストアップされている。きっと営業上手
 なのだ。集客率もかなり良い。当日販売の抽選Rushチケットもあり、開演の1時間半前に抽選と
 なっている。他の演目の抽選Rushは3時間とか2時間前だから、そちらで外れた人がこの作品に
 押し寄せるのを狙っているのか。実際、抽選Rushで最も参加者の多いWickedのすぐ隣でもあるし、
 そこで外れた人がかなりエントリーしている。結果、こちらもかなりの倍率になってしまい私も
 何度となく挑戦し外れていたが、他の公演と時間がずれている日曜日の昼公演はやや倍率が低く、
 めでたく当選することができた。Rush当選者にはなんと、チケットと一緒にオリジナル缶バッチが
 もらえる。営業上手だ〜。しかもちゃんと「W-i-n-n-i-n-g」とスペルされていて多分、当選者しか
 もらえないレア物だろう。裏の端にはMADE IN MEXICOとある。メキシコ製? これは劇中で意味が
 ある。抽選の他に立見席もあり、抽選に外れて立見席を買う人もいる。こちらも25ドル。この
 25ドルという額も劇中で意味がある。結構手が込んでいるというかアイディアがすごい。

 私が当選した席は、最前列のRush席でもド真ん中のマイクの目の前1mぐらいの席でこちらが恥ず
 かしくなるような席だった。もちろん舞台と客席の間にオケピはないし、舞台は客席の階段一段上
 の高さでほんとに目の前なのである。オフブロードウェイからの昇進してきた作品なのでこういう
 客席との密接感はすごい。途中でポップコーンも浴びる席である。
 この劇場で前に観たThe Rockey Horror Showの時もそうだったがアリーナ型の劇場なので客席後ろ
 からも人が現れるのは茶飯事。落ちた子が客席を駆け回り歌いながらお菓子をばらまくなど観客
 参加型で楽しめる。会場全体を使っていてさすがはオフブロードウェイ作品だ。オケは4人が舞台
 の後ろにいる。このオケも途中で効果的に利用されたりする。

 出演者は9人のみ。子供役が6人。大人役が3人。子供役も大人の役者が演じている。さらに一般
 の人が4人ほどSpering Beeの参加者として舞台に上げられる。事前に名前が登録されてるみたい
 なのでどうやって選んでいるんだろうか。選ぶのはいいとして、出るタイミングや座る位置、
 答える単語、帰るタイミングなど打ち合わせや練習しているのか? ぶっつけでやってるとしたら
 毎回違うステージになって結構マニア向けだ。
 役者の方は掛け持ちの人もいて、子供たちの親役などの端役をちょっとした早変わりで演じ分けて
 いる。例えば首から下げてるナンバープレートをさっと外したり後ろに回したりして他人になった
 り、エプロンやスカーフをちょっと変えるだけの早変わりであとは観客の理解で補ってもらおうと
 いう感じ。間違えたら即退場みたいなコンテストなので早く脱落して去った子役も別の役として
 出て来たりする。この構成はうまくて感心した。
 今日のキャストは3人代役であったが結構良くて代役の方に目が行った。特に決勝で敗れてしまう
 Olive役のLISA YUENが良かった。アジア系の女優なのでMarcyのアンダーでもあるとのこと。
 そちらも観てみたい。

 Spering Beeは単語のスペルを当てるアメリカの国民的行事で11歳から15歳までの子供が、
 クラス、学校内、地区大会、ワシントンDCでの全国大会を勝ち抜き全米No.1を目指すもの
 だそうだ。このミュージカルはその地区大会を舞台にしている。
 アメリカではミュージカル以外にも最近メディア的に流行ってるらしく映画が立て続けに公開
 されている。Richard GereやJuliette Binocheが出演したBee Season(綴り字のシーズン)が
 去年公開されたし、Laurence FishburneやAngela Bassettが出演する「AKEELAH and the BEE」
 が今年4月より全米公開されるらしい。

 ストーリーはSpering Bee大会が始まるところから始まり、終わるところで終わるというまさに
 この劇場が大会会場というスタイルを取っている。出場者が紹介され、あとは1人ずつ呼ばれ
 中央のマイクの前に立ち、言われた単語のスペルを当てる、というだけの単純なストーリー。
 間違えたら敗退で会場から去っていく。緊迫した大会シーンが続き、飽きた頃に回想シーンなど
 で歌が入りもうまい進行だった。
 単語がわからなかったら楽しめないと心配していたがそんなことはなかった。確かに単語は
 わからない。CowとかBugとかAstronautぐらいはわかるぐらい。それでも充分楽しめる要素は
 多々あり、セリフで笑いを取るだけといった姿勢でないのが良かった。もちろん、出場者が
 スペルを考える際に出題者に使用例や意味を聞き、それに対して出題者がチンプンカンプンな
 答えをして会場の笑いを取るというのがあるので、そのあたりが理解できれば2倍も3倍も
 楽しめるのだろうけど。
 子役のキャラが光っていて個性があり、いつの間にか感情移入。落ちていくのがかわいそうに
 なってしまう。さらに設定が移民系というところがすごい。ドイツ、メキシコ、インド、韓国
 など実際のSpering Bee大会はどうだかわからないが、移民2世、3世の方が子供の頃から英語
 を猛勉強して勝ち上がっているというのが実情なのだろうか。

 曲はフルオーケストラでない分、逆におもしろい。一回では覚えにくいがいい感じの曲がそろ
 っている。曲のテーマがはっきりしていて場に合っているのも好感がもてる。最近はやりの
 ジュークボックスミュージカルには既存の曲を場に関係なく散りばめたのも多いから、最近は
 こういう方が珍しく心地よく感じる。
 PLAYBILLに曲目表が載ってないのが残念である。休憩がない1幕ものなので休憩中に見る機会
 はないがちゃんと載せて欲しい。
 
 この作品は日本で上演されることはないだろうし、来日もないと思うのでアメリカで観るしか
 なさそうである。しかし、ストーリーや構成はいいし、こういう大会ものは日本人は好きなはず。
 Spering Beeじゃなくて別の大会に作り替えて上演してもおもしろくなるのではないか。それより、
 ミュージカルではなく本物のSpering Bee大会を日本でも根付かせてもいいかもしれない。
 日本でも子供の英語教育が盛んになって来ているわけだし。(すでにやっているのかな?)
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