LESTAT

                             PALACE THEATRE (NEWYORK)

                           (Preview , Opening 25.APR.2006)



                     27.MAR.2006  20:00〜  B105  BALC C   $36.25

     Lestat              HUGH PANARO            Gabrielle    CAROLEE CARMELLO 
     Armand              DREW SARICH            Louis        JIM STANEK 
     Nicolas             RODERICK HILL          Marius       MICHAEL GENET 
     Claudia             ALLISON FISCHER        Magnus       JOSEPH DELLGER 
     Marquis/Laurent     STEVE WILSON           Eleni        NIKKI RENEE DANIELS 
     Beautiful Woman     MEGAN REINKING 

ロンドンでのBilly Elliotなどディズニー以外でもミュージカル作曲家としてすっかり地位を確立しつつ
あるELTON JOHNが曲を担当している新作。題材は私の好きなヴァンパイアもの。しかし、ヴァンパイア系
はどれも短命なんだよなー。是非、長く続くよう期待したいのであるが。。。。。

曲は絶唱系の曲もあるし総じてメロディが良い。シーンに良く合っていて聞くだけで感動的な感じになる。
ただ、似たような感じが続くので、もう少し明るい曲も欲しかった。「Sail Me Away」なんて曲は2幕
後半というポジション的にも、故郷に帰るという心情的にももっとアップテンポにしても良かったと思う。
役者は歌える人揃いで文句なし。HUGH PANAROはもちろんのこと、CAROLEE CARMELLO、DREW SARICH、
JIM STANEK、ALLISON FISCHERなどショウストップになってもいいほどの持ち歌がある。多過ぎと思える
くらいで、やはりバランスが大事だ。

不老不死のヴァンバイアを描いているので、年代もいきなり30年後になったり、場所もヨーロッパだ
アメリカだと壮大なな時空を描いている。歳を取らないので役者は何十年経とうとそのままで演じ易い
だろうが脚本はまとめるのが大変だったろう。ちょっと消化不良である。Lestatの行動をずっと追っては
いるものの、どちらかというとLestatが出会う周りの人間の方がドラマチックに描かれ魅力的だ。全体を
通して言えばLestatはただの進行役にさえ見える。Nicolas、Gabrielleは1幕だけの登場だし、Louis、
Claudiaは2幕だけの登場と、メインのわき役陣は登場シーンにムラがあって構成的においしくない。
HUGH PANAROはThe Phantom of the OperaのPhantom役でおなじみだが素顔を見れるのが新鮮。Phantom
でもやたら細顔の印象があったが、やはり顔が細い〜。CAROLEE CARMELLOはLestatの母親役(!)という
ことで驚いたが、老いて死にそうだったのが息子に血を吸われて若返り元気になってからが、役の本領と
いうことらしい。少女Claudia役のALLISON FISCHERは10歳の設定で血を吸われてヴァンパイア仲間に
なり30年経っても少女の姿のまま、ダンスパーティーにも行けずに葛藤したりする。持ち歌の「I Want
 More」という曲が一番気に入ったが2曲続けてClaudiaが歌ったりして2幕前半はLestatを差し置いて
主役と言ってもいい感じになってしまっている。この辺り、まさにミュージカル「クラウディア」だ。
カーテンコールの拍手も一番多かった。メイン女優陣が少ないというのもあるだろうが、やはり少女が
早く大人になりたいという思い、それが叶えられない哀しさはアメリカでは共感を呼びやすいのだろう。
Mariusがインドの僧侶みたいなのは謎。「The King and I」みたいに途中、ヴァンパイア劇団(?)に
よるMariusの伝説劇が演じられるが、山海塾とまではいかないが白塗り半裸のコンテンポラリーな寸劇だ。

この手の作品のパターンかもしれないがダンスシーンが少ないのは残念である。民衆(アンサンブル)の
一部が踊っていることはあるものの、盛り上がる群舞のようなものも欲しい。まぁ、たくさんあっても
「ダンス・オブ・ヴァンバイア」ということになってしまうだろうが。「Beauty and The Beast」の
振付家MATT WESTがスタッフに入っているが、ChoreographerではなくMusical Stagingというクレジット
になっている。Choreographerは別にいないのでもともとダンスが少ない前提で作ってるのだろう。

セットは映像も使っているが、映像が売りだった「Woman in White」ほどしつこくなく、実写は石造りの
建物とか海くらいで、血を吸うシーンの抽象的な特殊映像はとても効果的になっている。白い壁の一部に
投影するやり方は「Sunset Boulvard」でもあったが、控えめで舞台らしく、いい感じになっている。
あと火が結構すごい。煙もすごい。ヴァンパイアが死ぬ唯一の方法は火(日光も)ということらしく苦悩
から解放される喜びと死との複雑な感覚が火と煙の中で交錯する。十字架は大丈夫なようである。
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