The PHANTOM of the OPERA
FORREST THEATRE (PHILADELPHIA)
23.OCT.1998 20:00〜   E114 ORCHC $70.00 The Phantom BRAD LITTLE Christine Daae AMY JO ARRINGTON Roul JASON PEBWORTH Carlotta JULIE SCHMIDT Monsieur Andre RICHARD REARDSON Monsieur Firmin DAVID CRYER Madame Giry JENNINE JONES Ubaldo Piangi STEVEN STEIN-GRAINGER Meg Giry BETINA HERSHEY Monsieur Reyer THOMAS SCHUMACHER Buquet JAY LUSTECK Monsieur Lefevre LARRY ADAMS ニューヨークから電車で1時間と少し。アメリカの古都フィラデルフィアでやって  いるファントムだ。BRAD LITTLEは、ラウル時代にブロードウェイで観たがその時  はさしたる印象もなく覚えていないが、この人のファントムは結構すごいかも。  まず、手が異様にでかいのだ。顔は小さく背が高くすらっとしているのに手が  大きい。そして、その手と指が怪しくそして美しく宙を泳ぐのです。  「Music of the night」はもちろんのこと、マスカレードの赤い死の時や  ドンファンの勝利の黒フードをかぶっている時など顔が見えない時でもその特徴  ある手が怪しく泳いで「BRAD LITTLEだよーん」としゃべっているようである。  そして、動きが機敏。歌いながら振り返る時などバラードの甘さの中にはっとする  ようなアクセントが生じる。そして、最初に仮面を取られた後のChristineへの  這い寄りが見事な匍匐前進(ほふくぜんしん)。君は軍隊経験があるのか?  最後の最後にRoulとChristineを追い出す時に「いけーー」と行って半分追いかけ  見事なスライディング(ハプニングだったのかも)。野球経験も豊富らしい。  とにかくアクション俳優のような動きと甘い手の動きが絡んで久々に若さの見える  ファントムが観れました。ラスト、二人を追い出したあとオルゴールに合わせて  マスカレードの一節を歌うのですが、殆どのファントムは猿の顔を手で隠します。  BRAD LITTLEは一瞬隠したあと今度は猿の髪をカールしてもてあそんでいるんです。  なんともいじらしいBRADファントムはきっと姿を消した後、第2の人生を歩み  始めることでしょう。まだまだ人生はこれからですよと言ってあげたい。  Roulがちょっといまいちかな。髪が七三で子爵というよりは一昔前の公務員みたい  だし、声が低い。冒頭のオークションでは相応の声なんですがどうもその後の  若いRoulにしては歌があわないような気がする。でもその点は演技でカバーして  いて、もしかしてChristineの方の技術力かもしれないのですが、「All I ask of You」のこの2人がまさしくラブラブ状態。このシーンだけ本作はメロドラマと  と化してました。  Piangiの声が驚くほど出ていなかった。オペラ団の第1テノールというには  ちょっとという声だ。Carlottaも驚いたが別の意味。なんともスレンダーで、  若く美しい。Christineよりもこっちの方に目が行ってしまった。マスカレードの  Carlottaの衣装はコウモリかなにかをイメージしていてミニスカートが薄くて  足のラインがよく見える衣装なんですが、まさにこの人のCarlottaのためにある  衣装といえる程似合ってました。  この劇場はツアーで3カ月使用するだけなのかもしれませんが、舞台装置に不備  があるようです。ようは奈落がないようで、鏡の中から出てきたファントムが  最初に降りる床下への階段がない。ChristineとRoulが屋上に出入りする階段が  ない。燭台は舞台袖(横)から滑ってくる。マスカレードの赤い死は床下に  落ちずに発火後、素早く袖に走って逃げる。あ、ここまでは赤坂版でも同じで  すね。しかし、Roulが地底湖に行くときに飛び下りるところも舞台に穴がない  らしく橋の下を黒い衝立で前隠ししているなどさまざまな苦労のあとが。  シャンデリアもなぜかきちんと着地せずにいつまでもブランコのように揺れて  いるので落ちたといっていいものか。  フィラデルフィア公演は12月までのようで、このツアーはアメリカ3ツアー  の中で唯一今後も各地を点々とする計画が組まれているようです。
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