The PHANTOM of the OPERA
PANTAGES THEATRE (TORONTO)
27.OCT.1998 20:00〜   BB29 ORCH C$99.25(Will Call) *The Phantom KEVIN McGUIRE *Christine Daae GLENDA BALKAN Roul DAVID ROGERS Carlotta KIM STENGEL *Monsieur Andre PETER BARNES *Monsieur Firmin SCOTT WATANABE Madame Giry KRISTINA MARIE GUIGUET Ubaldo Piangi BRENT WEBER Meg Giry CATRIONA FERGUSON *Monsieur Reyer PAUL MULLOY Buquet JOHN DODINGTON Monsieur Lefevre MICHAEL FAWKES Roulがやはり動きがにぶい。上記*印の人は代役であるからRoulは本役のメイン キャストとして引っ張って欲しいのであるが、Christineを助けにPhantomの館に 入ってくるなり首をつられる立ち位置の確認までしている。 GLENDA BALKANのChristineは歌はうまいが、すでにお歳のようでCarlottaよりも 貫祿があってCarlottaの方が若く見えるくらいであった。イルムートの時にやり 直しのシーンがありますが「変装はもういらない」のくだりでChristineはふりを 間違えます。だいたいの場合はその前に声を出さない役だとCarlottaにしかられ たりPhantomの意味深な声があったりで動揺して間違えてしまったと見えるのですが、 この人の場合はCarlottaをここぞとばかり意識的にいじめているように見えたり するのです。 さて、KEVIN McGUIREのPhantomは半年前よりもかなりPhantom役を研究していると 思われて良かったと思う。歌い方も結構セリフの高揚でとばしていた感が半年前 にはあったが、声を伸ばして音符にのせている部分が増えていて聞きやすかった。 また、普段はAndre役をやっているからこその自分なりのおじさん系ファントムを 作り上げているようです。仮面を取られる前の作曲のシーンではため息を多くしたり 悩んでいる様子でいかにも難しい作曲をしているようですが、手を振る仕種がオケ の指揮者の指揮の動きと合致していて、つまり流れている曲と動きが合っていて 優雅に見えるところが素晴らしい。また、ラストシーンでの変貌は今までみた いく人かのPhantomの中で初めて「こいつ死ぬ気じゃないか?」と思ったほどの 絶望感を表現していました。おじさんを通り越しておじいさんになってしまった 程の老けたPhantom。疲れきって息が荒くため息は破滅の象徴。ChristineとRoulを 追い出したあとは疲れ切って寝ころんでしまい、オルゴールの所に行って、猿の顔 は隠さずに自分の顔を隠し、まるで壊れてしまったようにマスカレードの歌を 陽気に変化させて歌う。 このPhantomには未来はない。生きる力もなく、最後のイスから消えた時は即ち死 を迎えて消えて行ったと考えさせられるPhantomでした。 この最終場面に出てくるMeg Giryは柵をくぐって入ってきたときにまっすぐイス のところい行かず、まずあたりを見回し燭台の炎が照らすロマンチックな情景の 幻想的な美しさに心奪われ恐さなど忘れてしまうような演技をしていました。 Meg Giryが母の反対を押し切って地下まで降りてきたのは単なる好奇心だったと 思わせる演技ですね。
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