The Scarlet Pimpernel
NEIL SIMON THEATRE (NEWYORK)
   2.NOV.1999 20:00〜   M104 ORCH $40.00(50%OFF+$2.50) Percy RON BOHMER Marguerite CAROLEE CARMELLO Chauvelin MARC KUDISCH Armand KIRK McDONALD Marie TERRY RICHMOND Tussaud DAVID MASENHEIMER Coupeau STEPHONNE SMITH Mercier DAVID St.LOUIS Robespierre/Prince of Wales DAVID CROMWELL  MINSKOFF THEATREを追い出されて(?)劇場を替わって第3バージョンになった  ということで、第1、第2バージョンを見ている私としてはどう変わったのか気に  なっていた作品です。今回は演出家はそのままだったので筋立て自体には前回ほど  の驚くべき変更はありませんでした。曲はリプライズで歌ってた曲が簡素なものに  なった程度でよりシェイプアップしたようです。大きく変わったのはキャストの方  で若干を残してほとんど総入れ替えです。役自体もかなり減りました。そのため、  主役3人以外の登場人物が結構クリアな存在になったと思います。特にPercyの  一党(League)は以前は何人いるのかもよくわからなかった「その他大勢」でしたが  今回は「Percyと7人の侍」という感じでいい感じを出しています。この一党が  歌う Into the FireとThe Creation of Manは拍手喝采でショウストップさせたい  くらいの出来。また振付もよりコミカルチックさが洗練されてドラマじゃなくて  ミュージカルだぞというエンターティメント性を増大させているようです。  ラストあたりの演出は結構変化がありました。処刑されたはずのPercyが現れるのは  袖からじゃなくてなんと客席2階のボックス席から。ロープで舞台に滑り降ります。  また第2バージョンで気になっていたラストのChauvelinをただ置き去りにすると  いうのがちゃんとわかりやすくなっていて、お縄にしたあとpimpernelの紋章が  入ったPercyの指輪をChauvelinにつけてThe Scarlet Pimpernelに仕立てて一党が  連れて舞台脇にひっこむというようになっていました。残ったPercyとMarguerite  はいきなりせり上がり、船のセットが現れ船上へ。今バージョンはこの2人のラブ  ラブなシーンで幕。そのあとカーテンコールがあり、全役者集合のあとにおなじみの  In to the Fireの大合唱を持ってきていました。その際にさっきの指輪をPercyに  返すChauvelinの姿が微笑ましい。ということで今回も大盛り上がり状態で終了。  全体的に劇場に合わせてスリムになったわけですが装置セットの方もスリム化。  でもこれは改悪です。Percyの屋敷の庭には以前は植え込みや花壇などがあって  貴族の屋敷の庭という感じがしましたが、今回は田園風景を描いた背景幕のみ。  これ自体結構きれいな風景なんですが、屋敷の庭としては柵もなく不用心だし、  なんか貴族の屋敷というよりも田舎の農場主か放牧民の家みたいな感じがします。  その直後のPercyの書斎のシーンではこの風景幕はそのままで前に本棚やソファが  出てくるだけでちょっと想像力がいります。二幕のMargueriteがフランスに潜入  するシーンでは一幕のギロチン台を真横から観る形に置き換えてその下の部分を  小屋として流用しているのも気付いてしまうとかなり変です。  キャストの方は、前回観たBWファントムのChristine Daae SANDRA JOSEPHの夫君  で、自身も国内ツアーのファントム役やAspects of LoveのAlex、Sunset Boulevard  のJoeなどALW系で活躍しているRON BOHMERがPercy役。ちょっと期待していたが、  健闘はしているものの元祖DOUGLAS SILLSに比べてしまうとコミカルさで及ばない。  歌の方もWildhorn特有の曲最後の声張り上げ伸ばしがちょっと不満。DOUGLAS SILLS  のあのニヤケ顔やおとぼけぶり、声張り上げの印象が強過ぎるのでしょうか。  対してChauvelinは以前にBeauty and The BeastのGastonで観たことのあるMARC  KUDISCH。これが歌もなかなかで雰囲気もGaston的で良かった。前バージョンはイン  テリでエリート公務員的な印象のREX SMITHでしたが、今回の頭より力ずく、胸毛も  健在な野性的Chauvelinは主役のライバル役としてはしっくりきます。また、ラスト  近くにPercyとMarguerite相手に剣で戦うが、2人相手にしていてもずいぶんと  余裕があるように見え安心して見ていられます。  そんな感じで随所にBeauty and The Beastを彷彿させたりすることもあり、以前から  のファントムやLes Miserablesを彷彿させるところもあり、この作品は他作品のいい  とこ取りをしながら成長しているという感じがします。2幕冒頭の黒い面を持ち  がらのScarlet Pimpernelの正体を噂する仮面(?)舞踏会シーンも健在で、これは  話の筋とヨーロッパ舞踏会文化を見事にマッチさせた私のお気に入りシーンです。  曲の歌い出しもセリフからさらりと歌に移行するといった意表をついた凝った歌い  出しが多くなったというのもこなれてきた証拠でいかにも改編を繰り返した末の  第3バージョンらしくなっています。  最後にカナダのRENTでTom Collins役で観たことがあるDAVID ST. LOUISがMercier  役(Chauvelinの手下)で出ていたのが印象に残りました。
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