Running Man
PRINCE MUSIC THEATRE (PHILADELPHIA)
     4.NOV.1999 20:00〜幕間なし B005 ORCH $30.00 Running Man JAMES DELISCO BEEKS Younger Running Man JOHNNY JAMISON Seven RONNELL BEY Miss Look TRACY NICOLE CHAPMAN Mother ROBERTA GUMBEL Father ROBERT JASON JACKSON    フィラデルフィアにあるこの劇場は小さな劇場であるが、劇場名のPRINCEとはあの  HAROLD PRINCEの名前からきている。この作品はHAROLD PRINCE氏とは関係ないが、  昨年、オフブロードウェイで公演されていて、オフブロードウェイでのトニー賞に  あたるオビー賞を2部門受賞している。また、ピュリッツアー賞にもノミネート  されたという社会派テーマのミュージカルである。ちなみにここでの公演は11月  7日までだったので現在はすでに閉幕している。  一応、ミュージカルと分類されているが、制作側の記事によると「JAZZ OPERA」だ  そうだ。曰く、家族が自分の言い分を勝手に言う姿と、JAZZ奏者がアドリブで勝手  に演奏する心は似ているとのこと。すごいこじつけであるが、実際に観てみると  JAZZっぽい音楽をバックに、一番小さく基本的な人間のコミュニティであるはず  の家族の考え方のすれ違いがストレートに描かれていて、その言葉通りの舞台に  なっていた。  これは主役である長男Tony(Running Man)が失踪して7年後の物語である。今でも  心配しているTonyの姉(Sister)Miss Lookの前に狂言回し役の先祖の霊Sevenが  現れたことから、家族による回想とともに失踪原因の探求がはじまるというもの。  やはり、現在からの回想劇パターンである。Sevenは失踪7年後だからSevenだとか、  聞けばちょっとバカにされていると思えてしまうが、まじめで笑いなど全くない  シリアスなドラマである。皆がTonyの失踪について語り出すと母も父も姉もそして  時々別世界から出てくる成長したRunning Manの主張もてんでかみあっていない。  ま、もともとどこの家族でもそうだとは思いますが、何か心に残るものを感じます。  音楽はJAZZを基調としていてバンド編成もジャズバンド編成であるが、歌が入る  せいかそんなことはあまり感じられない。キャストは皆、歌もうまく演技もなかなか  いいと思う。伴奏に合わせてはもちろん、アカペラ、ハーモニーなんでもこなす。  ちなみにキャストは上記の6人のみで Younger Running Man は小学生くらいの  子役。この子は歌わない。Miss Look役はThe Lion KingのShenziのオリジナル  キャストで、観劇録によると私が1年前に観た時も出演していた人である。ハイエナ  役ではさすがに顔は覚えてない。  この作品は演出した DIANE PAULUS の実体験だそうだ。つまり、演出家自身はこの  物語のSisterにあたり、弟(兄?)が実際に失踪後、麻薬中毒で亡くなっている。  その体験をそのまま舞台化したらしく、エピソードの中ではあまり関係ない時も  Sisterが前面にでて来てしまったり、ストーリー展開で物語性が薄い。つまり、  ドキュメンタリーをそのまま舞台化した感じである。本来ならば架空のエピソードや  どんでん返しなどをつけてドラマチックに持って言って欲しいところであるが、実話  ベースの社会派ドラマとなればこれはこれでいいのであろう、と思う。  ちなみにこの演出家が新作として制作中なのは、やはり実話を元にしたものらしく  彼女の母の日本(!)での生活を題材にしたものだそうだ。さて、ど、どんな話に  なるのだろうか。題名はSwimming with Watermelons。スイカと一緒に泳ぐ??  Runnning Man の次は Swimming Woman ということか。やはりバカにされているの  かもしれない。。。
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