KAT AND THE KINGS
CORT THEATRE (NEWYORK)
  6.NOV.1999 14:00〜 J103 ORCHC $49.00(PLAYBILL Offer) Kat Diamond TERRY HECTOR Lucy Dixon PIA C.GLENN Young Kat Diamond JODY J.ABRAHAMS Bingo LUQMAAN ADAMS Ballie JUNAID BOOYSEN Mangoo ALISTAIR IZOBELL  行く度にキャストが変わっていてつい観てしまうB&B(BEAUTY AND THE BEAST)  は劇場移動のため休演中。移動先のLUNT-FONTANNE THEATRE上部には例の黒地に  野獣のシルエットが入った巨大なテント布が張られ中でなにやら工事をしている  模様。きっとオープン時にテントを取ったらディズニーお得意の派手な装飾  ディスプレイが現れることであろう。キャストもANNIEのオリジナルキャストの  ANDREA McARDLEのBelleと、CHUCK WAGNERが野獣の頃Gustonをやっていた STEVE BLANCHARDのBeastということで観れなかったのは残念である。  前置きが長くなってしまったが、B&Bが観れないということであれば名前が  似ているK&K(KAT AND THE KINGS)を観賞してみることにした。  劇場に入ると客席では開演前からオールディーズっぽい曲がかかっている。  マチネということもあってか客の年齢層は高いみたいで、口ずさんだりしている  こともあり、これらの曲は有名な曲かあるいはこの人たちが通いつめているのか。  冒頭は1999年(PLAYBILL記載。この作品は1995年に出来たそうなので  毎年設定変更されてる?)南アフリカのケープタウン。街の靴磨きおじさん、  Kat Diamondは通り過ぎる人に向かって話かける。この辺りは、一人芝居であるが、  MISS SAIGONのEngineerの客引きシーンに似て、哀愁漂うシーンになっている。  演じるTERRY HECTORの演技や歌が庶民的で非常に身近な感じがして好感が持てる。  通り過ぎて行く客に向かって、客引きするKatはやがて自分が昔、青春を捧げた  ロックンロールグループ The Cavalla Kings の話を始める。つまり、  このミュージカルも現代から過去を回想するスタイルになっている。だが、  回想する本人と若い頃の自分が「共演」してしまうのが特徴のようで「思い出」と  「現実」が華麗に融合していくところがおもしろい。  というわけで、このThe Cavalla Kingsの結成から解散までがノリのよい  ミュージックとともに展開していく。4人の仲良しでグループ結成、ピアニスト  でマネージャーで紅一点のLucyとの出会い。初ライブ(?)、レコーディング  などなど一気に進んでいく。衣装が着のみ着のままからだんだんいい格好に  なっていくのもいい感じで、そのあたりもネタになっていたりする。そういうわけ  で、単なるステージ上の演目としてだけでなく、舞台裏の生活等もしっかり歌い  あげられているのでやはり一つの物語というべきなのだろう。  出演者がまた芸達者そろいである。歌もダンスも秀逸。コメディセンスも抜群。  グループということだけあってチームワークも完璧。この4人のメンバーは初演の  まま、つまり本拠地ケープタウンでのプレミア、ロンドンと渡り歩いてきたことに  なる。もう、この4人がいなかったらこの作品は成り立たないだろう。(ちなみに  出演者は上記の6人のみである。)また、小技として日本で言えば「王様のアイ  ディア」にあるようなマジカルな小道具がたくさん使われている。ほんの一部を  言ってしまうと、落とすと跳ね返るハンカチとか、匂いを嗅ぐとしおれるバラ、  動く眉毛など仕掛けは単純で子供じみているが、いいタイミングで効果的に使われ  ているのでそれだけでも笑える。  ラストは当然グループ解散という寂しいラストであるが、カーテンコール後がまた  2〜3曲ライブ状態で完全に盛り上がり状態で総立ちのまま終了する。  チラシや看板等にあるマスコミの一言評の中に、"You won't want to leave the theatre."というのがあるがまさにその通りだったと思った。もし、さらに私が 付け加えることが許されるならば、「1週間たったら何故かまた観たくなる。」 というのが今の正直な気持ちである。(英語じゃなくて失礼。)南アフリカ産と いうこととロックンロールということでブロードウェイミュージカルを観に行くの にはどうかと思うが、「1、2本観てあともう1本何か」という場合には是非 お勧めしたい作品である。
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