Nine

              EUGENE O'NEILL THEATRE (NEWYORK)
  

          22.MAY.2003  20:00〜   SR106  STAND   $31.00

 Guido Contini         ANTONIO BANDERAS     Little Guido    ANTHONY COLANGELO
  Liliane La Fleur      CHITA RIVERA         Luisa    MARY STUART MASTERSON
  Carla                 JANE KRAKOWSKI       Claudia             LAURA BENANTI
  Stephanie Necrophorus SAUNDRA SANTIAGO     Saraghina    MYRA LUCRETIA TAYLOR
  Lina Darling          NELL CAMPBELL        Guido's Mother     MARY BETH PEIL
  Our Lady of the Spa   DEIDRE GOODWIN       Diana            RACHEL deBENEDET
  Juliette              RONA FIGUEROA        Maria           SARA GETTELFINGER
  Annabella             KRISTIN MARKS        Olga Von Strum    LINDA MUGLESTON
  Renata                ELENA SHADDOW        Sofia                KATHY VOYTKO
 
 8月まで延長されたものの、期間限定の作品ってブロードウェイらしくないなー、と
 最初は観るつもりもなかったが、劇場前の看板やガイド等で観る気になり、当日発売
 の立ち見席(1階席後ろ)で観ることにした。
 主役のGuido役とその少年時代のLittle Guido役以外は出演者は全て女性なのでGuido
 役のANTONIO BANDERASは超目立ちまくっていてブロードウェイデビューには持って
 こいの作品に思える。とても恵まれていると思う。
 MAURY YESTONの曲はTITANICでもそうだったようにクラシカルな感じで、オペラに
 似た部分もあり難しそうな気もするが、ANTONIO BANDERASはちゃんとコミカルに歌い
 流したり、時には熱唱したり聞かせどころをキチンと歌っているのが凄い。
 似たような曲のPHANTOMの映画が一層楽しみなのもそうだが、FRANK WILDBORNの曲
 とかも歌わせてみたい気がする。
 唯一のダンスシーン(?)であるCHITA RIVERAとのタンゴも目隠し(見えてる?)
 しながらもしっかり踊ってる。CHITA RIVERAは登場した時も大拍手で、このタンゴ
 に続く歌ぐらいしか大きな見せ場はないもののそれをショウストップ的なビッグ
 ナンバーに仕上げていてさすがである。
 他にも女優陣がたくさんいて目移り(!)してしまうが、Guidoをとりまく中心的な
 女3人(Luisa、Carla、Claudia)もそれぞれ特徴があっていい感じである。特に
 愛人Carla役であるJANE KRAKOWSKI(TVのアリーmyラブに出てたらしい)は、宙吊り
 で出て来てANTONIO BANDERASの前で歌って絡み、また曲の終わりと共に逆さ吊りで
 上がっていくという体を張った名演をしている。その他にも以前、Miss Saigonの
 Kimで見たRONA FIGUEROAがアンサンブルにいたりと期間限定公演なのでキャストは
 贅沢な人を集めてきたといった感じである。
 セットは舞台奥の中段に横断用の通路、その下手にらせん階段があるモノトーン調の
 シンプルなセット。物語のメイン舞台が、主人公の映画監督Guidoが創作活動する
 ために来たヴェネチアの温泉(Spa)ということで、リゾートの開放的な建物を
 思わせる階段、通路に、中央に大きな円卓、透明ないくつかのイスを配置。この円卓
 とイスを自在に動かして妄想シーン等いろいろ表現している。そして、温泉地なだけ
 に2幕では舞台後ろの壁から水が流れ出し、舞台中央から水が湧き出て、ちょっと
 した池になってしまうのは驚き。出演者みんな靴を脱いで裸足でピチャピチャ歩き
 回る。Guidoも2幕はズボンの裾を膝までまくりあげて出てくるのでちょっと
 コミカル。
 後ろのらせん階段は、単なる建物の階段としてだけでなく、現実と妄想、現在と過去
 などをつなぐ役割をしている。場面により過去の女たちや子供時代の自分が昇り降り
 するのが何故かもの悲しくなる時がある。ラストに女たちがらせん階段に昇って1列
 に止まり、Guidoが合図するとらせん階段がオルゴールの飾りのように回転したあと
 ケンカをしていた妻が袖から現れる、というのは過去の女との決別、現在の妻との
 やり直しという、未来の姿を暗示しているようですごい演出だと思う。
 先程のCarlaが宙吊りで出てくるというのも妻が目の前にいる時に愛人から電話が
 かかってきたというシーンを表現した奇抜な演出で、演出したDAVID LEVEAUXは結構
 おもしろいことをすると思う。1幕終わりに祈りのシーンで赤い粉をまくが、これも
 舞台が汚れてしまってなどと心配するほど斬新である。この粉、まいた後、一階席の
 一番後ろまでツンとした匂いがただよってきたが、なんだったのだろう。ちなみに
 舞台上に残った赤い粉は2幕で池が出来て、その水が引いてもまだ固まって残って
 いた。
 ストーリーは、はっきりいってわかりにくい。原作の1963年のFederico Felliniの
 映画「8 1/2」は見たことないが、話によると映画は余計わからないらしい。
 自己解釈するのがおもしろい作品だと思う。希望を言えば、せっかくMAURY YESTON
 がクラシカルな曲を書いているので、軽快なノリのギャグはほどほどに。ANTONIO 
 BANDERASのうまさはわかるけど。。。
 さて、そのANTONIO BANDERASの夫人であるMELANIE GRIFFITHが来月あたり(7月?)
 からCHICAGOのRoxie Hartを演じるという話がありますが、CHICAGOをやっている
 AMBASSADOR THEATREって、驚くことにこの劇場の向かいなんですね。
 さすがに夫が毎日16人もの女に囲まれてると、いてもたってもいられないって
 感じ?
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