THE BOY FROM OZ

                           IMPERIAL THEATRE (NEWYORK)

                22.MAY.2004  20:00〜  D2  RMEZ35   $71.25

 
 Peter Allen      HUGH JACKMAN            Young Peter   MITCHEL DAVID FEDERAN
 Liza Minnelli    STEPHANIE J. BLOCK      Judy Garland  ISABEL KEATING
 Marion Woolnough BETH FOWLER             Mark Herron   MICHAEL HALLING
 Chris Bell       TIMOTHY A. FITZGERALD   Greg Connell  JARROD EMICK
 Dick Woolnough/Dee Anthony    MICHAEL MULHEREN
 

 この作品はPeter Allenという実在の人物をモデルにしている実話に基づいたストーリー
 なのであるが、観てみて一言で言うとまさに「ヒュー ジャックマン・ショー」といった
 感じなのである。
 客席とのアドリブトークも炸裂。その度にストーリー中断で歓声が上がり、テレビの
 生番組(ワイドショー)みたい。みのもんたの「奥さん、奥さん」の客いじりととも
 すれば同じ印象になってしまう。
 
 そんなHUGH JACKMANはミュージカル俳優としては実力豊富で歌は歌えてノリもいいが、
 この作品ではダンスの見せ場がなくて残念。ダンスシーンはあっても振りが単純で古い
 印象を受ける。アンサンブルのダンスも同様。一人Young Peterを演じる子役のMITCHEL 
 DAVID FEDERANだけは連続ターンしたりタップしたりバク転するなどしてダンスでは一人
 で目立っていた。ちなみに振付家はJOEY McKNEELYで日本でもやったWEST SIDE STORYの
 ミラノ・スカラ座バージョンを手掛けた人である。さらに今夏、少年隊+ジャニーズ軍団
 がやるという注目のWEST SIDE STORYも手掛ける人だ。・・・・どうなの?
 セットも淡白で舞台に何もない場面もあって全てHUGH JACKMANを見るしかない。だから
 HUGH JACKMANは出ずっぱり。衣装替えも、芸能人役の設定をうまく使いマネージャとか
 衣装係役(?)のアンサンブルが舞台上に持参したりして、ほぼ舞台上でやってたりする。
(ズボンを脱ぐと客席からまた黄色い歓声。これも作り手側は意図している感じがニクイ。)
 役柄かピアノを弾くシーンも多いが実際は弾けないだろうというような弾きマネで大げさ
 なアクションでやっているのはどうかな。(実際のPeter Allenが大げさな仕種で弾いて
 いたのか? これも役作り?)
 女優陣が3人もメインにいるのだが、そんな感じなので完全にかすんでいる。母親役は
 Beauty and The BeastのオリジナルMrs.PottsのBETH FOWLER、他の二人もLiza
 Minnelli役とJudy Garland役という大御所を演じているので観るところはたくさんある
 はずなのだが。
 曲はPeter Allenが実際作った曲をちりばめて使っているものの、ラストのI Go To RIO
 以外はあまりメロディ自体は印象的ではなく、こちらでもPeter Allenという人物が霞んで
 しまっている感じである。そのラストのI Go To RIOだけはリズム的に盛り上がるのである
 が、大階段からHUGH JACKMANと背中に羽飾りをつけた女優陣が出て来たりしてまさに
 宝塚レビュー風。

 元は実話でもストーリー進行も装置、曲、衣装、出演者もすべてHUGH JACKMANのために
 作られたという感じさえする舞台なのだ。元はオーストラリアで別の役者により公演
 されていたとは到底信じられない。(それなりに変更はあったらしいが)
 Buddyというミュージシャンの半生を描いた同様の伝記ミュージカルがあるがそれとも
 確かに違う。
 Peter Allen役は一応Standby俳優がクレジットされているが、そんな人が出て来たら
 会場内総ブーイングだろう。というかその時は「休演する」との噂もある。
 HUGH JACKMANは今年のトニー賞の司会(ホスト)もするそうだ。自分の名前を主演男優賞
 で呼ぶのだろうか? 今、一番ノリにのっている感じ。終演後の出待ちも人が多い。
 サインなど心良くファンの要望に対応してくれるのも人気の秘密でしょう。一応、1年
 契約で9月にはこの役を降りるそうであるが、舞台は生き物。そんな風に育てられ、
 残される作品はどうなるのでしょうか。
top